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中国の抗議活動が拡大しすぎて政府の検閲システムが圧倒されている可能性、Twitterを使った検閲対策も登場


中国政府は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に厳しく対処しており、時には一定期間の都市封鎖(ロックダウン)も行う「ゼロコロナ政策」を継続しています。しかし、記事作成時点ではゼロコロナ政策に不満を持つ人々が大規模抗議活動起こしており、一般人が日々大量に抗議活動の動画を投稿したことで、中国の検閲システムがうまく処理できない状態に陥っていると、海外メディアのニューヨーク・タイムズが報じました。

Protests Stretch China’s Censorship to Its Limits - The New York Times
https://www.nytimes.com/2022/11/30/business/china-protests-censorship-video.html

Twitter Becomes Stage for China Protests Despite Ban by Beijing - WSJ
https://www.wsj.com/articles/twitter-becomes-stage-for-china-protests-despite-ban-by-beijing-11669829265

Chinese users play cat-and-mouse with censors amid protests | AP News
https://apnews.com/article/technology-health-hong-kong-shanghai-covid-5452012336b1f8bbbd8b4658e87be453

2022年11月、新疆ウイグル自治区ウルムチ市で10人が死亡する集合住宅火災が発生し、これに対し「ロックダウンによって逃げ遅れたのではないか」という声が高まって抗議活動に発展しました。また、鄭州市ではiPhoneの製造を請け負っているFoxconnの工場で、従業員がロックダウンで監禁に近い形で労働させられた上にボーナス支払いの遅延が重なり、大規模な抗議デモが発生しました。

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中国と言えば厳しいインターネット検閲を行っていることで知られており、海外のFacebookやTwitterといったSNS、YouTubeなどの動画投稿サイトにアクセスできないほか、政府に反対するような動画はすぐに削除されてしまいます。これらの抗議デモに関する動画も当然ながら当局によって検閲され、削除が行われましたが、それでも抗議活動の様子を撮影した複数の動画がWeChatなどでしばらく見られたとのこと。

AP通信のインタビューに仮名で応じた北京在住のエリオット・ワン氏は、「私は常に画面を更新して、動画を保存し、検閲される前にできる限りのスクリーンショットを撮影しました。多くの友人が上海で起きたデモの動画をシェアしていました。私もそれをシェアしましたが、すぐに削除されてしまいました」と述べています。


WeChatに反政府的な動画があふれた理由について専門家は、非常に多くの中国人が街頭に出て抗議活動の動画を撮影し、膨大な量の動画が投稿されたため、自動化された検閲システムや人間のモデレーターを圧倒した可能性があると考えています。

カリフォルニア大学バークレー校でインターネットの自由について研究するXiao Qiang氏は、「怒りが街の通りにあふれると、検閲するのがはるかに難しくなります」とコメント。同じデモであっても、さまざまな角度から数百人の参加者によって撮影された動画があれば、アルゴリズムがスクリーニングして検閲するのが非常に困難になると指摘しています。

また、中国のインターネットユーザーはフィルターを使ったり、動画をアプリ上で再生したものを画面録画したり、複数の動画をつなぎ合わせたりすることで検閲システムを混乱させているとのこと。さらに、検閲回避のためにあえて何も書かない「白紙」を掲げるなど、抗議者は創造性を発揮しているそうです。

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もちろん、時間がかかるとはいえ中国当局は最終的に動画を削除することができますが、中国で発生したデモや抗議活動の動画は、本来は中国国内からアクセスできないTwitterなどにも投稿されています。70万人以上のフォロワーを抱える「李老师不是你老师(李先生はあなたの先生ではありません)」というアカウントは、中国国外に住む中国人によって運営されており、中国国内からDMに送られてきたスクリーンショットや写真、動画などを投稿しています。

Twitterに投稿されたコンテンツは中国当局によって削除されないため、李老师不是你老师によって投稿されることでインターネット上に残ります。その結果、たとえ中国国内で特定の写真や動画が削除されても、VPNを使ってTwitterにアクセスすれば、再びコンテンツをダウンロードし、国内で再投稿することができるというわけです。

こうした抗議活動コンテンツを投稿するTwitterアカウントに対し、中国当局はTwitterの報告システムで規約違反であると通報することで、アカウント凍結に追い込むなどの対抗策をとっているとのこと。明治大学の訪問研究員である潘嘉偉氏は、「これは間違いなく、権威主義政権によるハッキングからユーザーをどのように保護するかについての、イーロン・マスク氏とTwitterのテストとなります」と述べています。

ウォール・ストリート・ジャーナルは、抗議活動に関連するコンテンツをリツイートした後で凍結されてしまったアカウントについてTwitterに問い合わせたところ、返答はありませんでしたが直後にアカウントが復活したと報じました。

さらに、中国当局は国内の抗議デモから海外の目をそらすため、中国の都市名を含めたポルノ広告を大量に流すことで、デモ関連コンテンツを見つかりにくくする情報操作を行っていることも報じられています。

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in モバイル,   ソフトウェア,   ネットサービス, Posted by log1h_ik

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