意外な素材から「ビーガン向けベーコン」を作るスタートアップが登場

by Umaro Foods

食肉の生産が地球環境に与える影響が明らかになるにつれて、植物中心の食生活を採用する人が増えていますが、ベジタリアンやビーガンになるとカリカリに焼けたベーコンを諦めなければなりません。そんなビーガンでも気兼ねなく食べられて、味も食感も本物にそっくりなベーコンを海藻から作る技術を、カリフォルニア州のスタートアップであるUmaro Foodsが開発しました。

This startup turned seaweed into delicious vegan bacon
https://www.fastcompany.com/90807713/this-startup-turned-seaweed-into-delicious-vegan-bacon

This 'Shark Tank' Startup Is Making Vegan Bacon Out of Seaweed
https://singularityhub.com/2022/11/30/this-shark-tank-funded-startup-is-making-vegan-bacon-out-of-seaweed/

Umaro FoodsのCEOで共同設立者でもあるBeth Zotter氏が海藻の研究に乗り出したのは2012年のこと。海藻ベースのバイオ燃料の普及を目指す企業の一員だったZotter氏ですが、化石燃料との競争には勝てず事業が頓挫してしまいました。それでも海藻の可能性を諦めなかったZotter氏が次に注目したのが、Beyond MeatImpossible Foodsの登場により急拡大しつつあった代替肉市場です。

by Umaro Foods

Zotter氏によると、海で育つ海藻は同じ面積の大豆畑の5倍のタンパク質を生産できるとのこと。また、英語でも「Umami」として知られているうま味が日本人による昆布の研究で突き止められたことからも分かる通り、海藻からは濃厚で豊かな味わいを抽出することができます。

さらにZotter氏らが海藻の研究を進めたところ、元の5倍の重量の油分を保持できるゲル状成分が見つかり、焼くとベーコンに似たカリカリした食感が再現できることが分かりました。ここから一気に研究を加速させたZotter氏は、紅藻類をベースとした原料にひよこ豆のタンパク質、ココナッツオイルとひまわり油の脂肪酸、パプリカとラディッシュの赤い色合いを追加し、海塩で味を調えて、見た目も味も本物そっくりなベーコンを作り上ることに成功しました。

by Umaro Foods

最も重要なのが海藻由来のゲルによる「脂肪のカプセル化」で、これが完成品にパリッとした脂肪の口当たりを与えているとのこと。また、脂肪の分子は肉の風味の再現にも欠かせません。

by Umaro Foods

これまでのところ、Umaro Foodsのベーコンはアメリカ国内のいくつかのレストランでビーガン向けサンドイッチやブリトーに使われるのにとどまっていますが、2023年中に店頭で販売することを目指しており、資金集めも進められています。

2022年8月に放送されたアメリカ版「マネーの虎」こと「Shark Tank」では、Zotter氏と共同設立者のAmanda Stiles氏が出演し、投資家から「サンドイッチにすると最高。本当においしい」というコメントと100万ドル(約1億3500万円)の資金を引き出すことに成功しました。

今後はさらに、海藻からヴィーガン向けのペパロニやサラミを作ることを計画しているというZotter氏は、「海藻は最も地球に優しいタンパク源です。私たちのベーコンは、そんな海藻をアメリカ人や他の国の人々の食卓に届ける最初の製品になるでしょう」と語りました。

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in , Posted by log1l_ks

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