サイエンス

食肉や米の生産は気候変動にどれだけの影響を与えているのか?


近年、気候変動への対策として二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガス排出量の削減が国際的な課題となっています。メタンの排出に関しては畜産が大きな影響を与えていると指摘されていますが、2021年9月13日付けで、新たに畜産や野菜の生産などの農業によって排出される温室効果ガスの量を試算した研究報告が公開されました。

Global greenhouse gas emissions from animal-based foods are twice those of plant-based foods | Nature Food
https://doi.org/10.1038/s43016-021-00358-x


Meat accounts for nearly 60% of all greenhouse gases from food production, study finds | Meat industry | The Guardian
https://www.theguardian.com/environment/2021/sep/13/meat-greenhouses-gases-food-production-study

研究チームは、200カ国以上の国々を対象に、170を超える植物食品と16の動物食品の生産による温室効果ガスの排出量を求めました。その結果、農業機械の使用・肥料の散布・食糧の輸送などを含む世界中の食糧生産システム全体で、年間173億1800万トンに及ぶ温室効果ガスが排出されていることが明らかになりました。これは、全世界の年間温室効果ガス排出量の35%に相当する量です。

食糧生産による温室効果ガス排出のうち、畜産によって排出される量は57%で、植物食品の栽培によって排出される量は29%だったとのこと。畜産に着目すると、牛肉・牛乳・豚肉・鶏肉などが多くの温室効果ガスを排出しており、最も排出量の多い牛肉生産だけで食糧全体の排出量の25%を占めています。また、植物では米・小麦・サトウキビなどによる排出量が多く、米の生産による温室効果ガス排出量は食糧全体の12%に及んでいます。


研究チームによると、小麦を1kg生産する際に排出される温室効果ガスの量が2.5kgであるのに対し、牛肉を1kg生産する際は70kgの温室効果ガスが排出されるとのこと。研究報告の共著者であるXiaoming Xu氏は「より多くの肉を生産するには、より多くの餌を生産する必要があります。そのため、多くの温室効果ガスが発生します」と、食肉の生産の際に多くの温室効果ガスが排出される理由を解説しています。

加えて、共著者のアトゥール・ジャイン氏は「この研究の動機の一部は、厳格な菜食主義者である自分自身の二酸化炭素排出量を計算することでした。人々に食事の内容を変えるように強制することは意図していません」と前置きしつつ、「自分の意見を他人に押し付けることはできません。しかし、人々が気候変動を心配しているなら、食生活を変えることを真剣に考えるべきです」と主張しています。

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in サイエンス,   , Posted by log1o_hf

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