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大規模な抗議デモが発生したFoxconnの巨大iPhone工場地帯「iPhone City」のロックダウンがついに解除、Appleにとって中国が最大のリスクに

by Prachatai

iPhoneの製造工場が集中し「iPhone City」とも呼ばれる中国の河南省鄭州市で、新型コロナウイルス感染拡大防止のためのロックダウンが解除されました。ロックダウン期間中には大規模な抗議活動が発生しており、iPhoneの生産能力が大きく低下したことも報じられています。

China's Zhengzhou, home to world's largest iPhone factory, ends Covid lockdown | CNN Business
https://edition.cnn.com/2022/11/30/tech/china-apple-foxconn-zhengzhou-lifts-lockdown-hnk-intl/

郑州市疫情防控指挥部致全体市民的公开信
https://mp.weixin.qq.com/s/AlHK3niz_wvD_CgHzDP_wQ

The total iPhone 14 Pro and 14 Pro Max shipments in 4Q22 will be 15–20 million units less than expected. Significant downside risks to Apple & iPhone supply chain due to Zhengzhou iPhone plant labor protests | by 郭明錤 (Ming-Chi Kuo) | Nov, 2022 | Medium
https://medium.com/@mingchikuo/b7c446d04607

Analysis: Apple supply chain data shows receding exposure to China as risks mount | Reuters
https://www.reuters.com/technology/apple-supply-chain-data-shows-receding-exposure-china-risks-mount-2022-11-30/

中国では、新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、感染が確認された施設や地域を封鎖(ロックダウン)する「ゼロコロナ政策」を進めています。AppleからiPhoneの製造を請け負う「Foxconn」の工場が位置する鄭州空港経済区では2022年11月2日にロックダウンが開始。その後、感染拡大に伴ってロックダウンの範囲は鄭州市全体にまで広がりました。ロックダウンの際、Foxconnの工場では「社員寮の食事サービス中止」「行動可能範囲の制限」などの感染対策が実施されたのですが、厳しすぎる行動制限や「約束の時期にボーナスが支払われない」「ゴミが無尽蔵に積み上がる」といった労働環境の悪化に不満を持った従業員によって抗議デモが発生。抗議デモを抑え込もうとする機動隊との衝突も起き、ケガ人が救急車で運ばれる事態にまで発展しました。

中国のiPhone工場での大規模デモで従業員と当局が衝突 - GIGAZINE


上記のように、鄭州市のロックダウンは身体的にも精神的にも過酷なもので、中にはロックダウンに耐えきれずiPhone製造工場から脱出する人も現れたと報じられています。さらに、Foxconnの製造能力が著しく低下したことから「2022年のiPhone 14 Pro生産台数が600万台減少する」という分析結果が報告されるなど、Appleにとっては大きな打撃となっています。

iPhone 14 Proの生産台数が600万台近く減少する可能性が高くロックダウンが続くとさらに悪化する可能性大、Appleの主要な製造拠点であるFoxconnでの混乱が原因 - GIGAZINE


そんな鄭州市でのロックダウンが2022年11月30日0時から段階的に解除されました。当局の発表では、ロックダウンの解除は「新規感染者が5日間確認されなかった地域」から順番に行われるとされています。

ロックダウンは解除されたものの、ウェドブッシュ証券で調査を行っているダニエル・アイブス氏は、Appleがロックダウンの期間中に約10億ドル(約1370億円)の販売損失を被ったと分析しています。また、Apple関連の的確な予想で知られるアナリストのミン・チー・クオ氏は2022年第4四半期(10月~12月)のiPhone 14 ProおよびiPhone 14 Pro Maxの出荷台数が予想を1500万台~2000万台下回ると予測しています。

The total iPhone 14 Pro and 14 Pro Max shipments in 4Q22 will be 15–20 million units less than expected. Significant downside risks to Apple & iPhone supply chain due to Zhengzhou iPhone plant labor protestshttps://t.co/tUkKE9TGVG

— 郭明錤 (Ming-Chi Kuo) (@mingchikuo)


中国では、上記のようなロックダウンなどによる生産能力低下が発生する可能性があり、中国に大規模な製造拠点を置くことは製品の安定供給を妨げるリスクになり得ます。このため、Appleは製造拠点をインドやベトナムとった中国以外の国々に移行しつつあることが報じられていました。新たにロイターがAppleのサプライチェーンについて分析した結果、Apple製品の製造拠点のうち中国が占める割合は2019年は49%でしたが、2020年には41%、2021年には36%と徐々に減少していることが判明したとのこと。今後も、Appleの中国離れは加速しそうです。

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in モバイル,   ハードウェア, Posted by log1o_hf

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