サイエンス

世界で初めてふん便移植が規制当局に承認される、次の目標は「スーパーうんち」の作成


オーストラリアの規制当局が、世界で初めて糞便(ふんべん)移植を承認しました。健康な人の糞便から微生物を採取して移植することにより、大腸炎などの治療に役立つとされています。記事作成時点では糞便移植は大腸を介して行われていますが、近い将来、経口投与が可能になるかもしれないとのことです。

Australia gives world-first approval for faecal transplants to restore gut health | Health | The Guardian
https://www.theguardian.com/australia-news/2022/nov/11/australia-gives-world-first-approval-for-faecal-transplants-to-restore-gut-health

オーストラリアのアデレードに拠点を置くBiomeBankという企業が、オーストオラリアの医薬品管理局であるTherapeutic Goods Administrationから糞便移植の承認を受けました。承認を受けた治療は、Clostridioides difficileという細菌によって引き起こされる再発性の症状に限られています。

Clostridioides difficileは一般的な腸内細菌ですが、免疫力が低下した人に大腸炎や下痢などを引き起こす可能性があるとのこと。承認を受けたBiomeBankは、健康な人から腸内細菌を集め、発症した患者に細菌株を移植する治療を行えるようになります。


BiomeBankのサム・コステロCEOは「この治療法は数年前から暫定的に患者に提供されていましたが、承認によって基本的な医薬品レベルの水準が保証されることになります」と述べています。

BiomeBankはドナーから得た菌株でライブラリを構築していますが、適切なドナーは少なく、確保するのが困難だとのこと。優良なドナーは、その希少性から「ユニコーン」と呼ばれることもあるそうです。


規制当局から糞便移植の承認を受けた事例はこれが世界で初めてとなるため、コステロ氏は「他の疾患に対する治療の承認への道を開いたことになります」とも述べました。コステロ氏によれば、次の段階は特定の病気をターゲットにできる「スーパーうんち(super poo)」を作ることだそうです。

コステロ氏は「個々の細菌を培養して大規模な糞便ライブラリを作ろうとしています。このような治療法はドナーを必要とせず、その組成をより厳密に定義できるという点で有利であり、拡張性もあります。はるかに多くの患者に、より簡単に治療を提供できるようになるでしょう」と述べました。

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in サイエンス, Posted by log1p_kr

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