地球外生命体が地球に現れないのは「太陽系に訪れる価値がないから」という説
宇宙の広さを考えると地球外生命体が存在していてもおかしくないと思えますが、人類は今のところ地球外生命体と接触できていません。この「地球に地球外生命体が現れない理由」について「太陽系が地球外生命体にとって魅力的でないから」という新説が登場しました。
Galactic settlement of low-mass stars as a resolution to the Fermi paradox
https://doi.org/10.48550/arXiv.2210.10656
Maybe We Don't See Aliens Because Nobody Wants to Come Here - Universe Today
https://www.universetoday.com/158287/maybe-we-dont-see-aliens-because-nobody-wants-to-come-here/
地球外生命体が地球に現れない理由に関する議論は数多く行われており、特に「地球外に文明が存在するならば、その文明はなぜ地球文明に接触してこないのか」という矛盾を指摘する「フェルミのパラドックス」にまつわる考察が多くの研究者によって繰り広げられています。
例えば、1975年に天文学者のマイケル・ハート氏が発表した論文では、「地球外文明が母星から他の星に100の船団を送りこんだ場合、船団が行きついた星からも同様に100の船団が送り出され、そのプロセスが何度も繰り返されて急速に文明圏が拡大する」という考察が繰り広げられており、「上記の方法で地球外文明の文明圏が拡大した場合、65万年以内に宇宙全体の惑星を横断することになるが、現時点で地球外生命体が地球に到達していないということは、地球外生命体は存在しないことになる」と結論付けられています。
今回新たに提示された説では、フェルミのパラドックスに関するこれまでの考察について「すべての天体に同じ価値があると仮定してる」と指摘し、地球外生命体が他の天体を目指す際は、天体の価値を見極めて魅力的な惑星を目指すはずだと主張。さらに、研究チームは天体の価値は寿命の長さで測られると指摘し、地球外生命体は寿命の長い天体を優先的に目指すはずだと考察しています。
寿命の長い天体としては、K型主系列星(橙色矮星)や赤色矮星などの質量の小さい天体が知られています。これらの天体は太陽系よりも寿命が長く、長期間にわたってエネルギーを取り出せることから地球外文明にとって魅力的に見えるとのこと。魅力的でない太陽系は優先度が低いため、地球外生命体が訪れていないというわけです。
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