地球外生命体が宇宙船にくっついて地球を侵略する可能性を科学者が警告
人類は長らく地球外生命体を探し続けていますが、記事作成時点では発見されていません。この地球外生命体が、宇宙船にくっついて地球へ飛来する可能性があると、科学者が警告しています。
Planetary Biosecurity: Applying Invasion Science to Prevent Biological Contamination from Space Travel | BioScience | Oxford Academic
https://academic.oup.com/bioscience/advance-article/doi/10.1093/biosci/biab115/6413826
Alien organisms could hitch a ride on our spacecraft and contaminate Earth, scientists warn | Live Science
https://www.livescience.com/space-exploration-risks-alien-organism-invasion
2021年11月17日、アメリカ生物科学研究所に代わってオックスフォード大学出版局が発行する査読付きの科学誌・BioScienceで、「惑星のバイオセキュリティ:宇宙飛行による生物学的汚染を防ぐための侵略科学の応用」という学術論文が掲載され、地球外生命体による地球への侵略について論じられています。同論文では、宇宙開発の需要が高まるにつれ、地球外生命体が地球へやってくる可能性が高まっていると科学者たちは主張しました。
論文の筆頭著者は、カナダのモントリオールにあるマギル大学の侵略生物学の教授であるアンソニー・リッチャルディ氏。同氏は論文の中で、地球外生命体について調査を進めている宇宙生物学者と、地球にやってくる侵略的な外来種について調査を進める侵入生物学者との間でより緊密な共同研究を行っていく必要があると述べています。リッチャルディ氏は「宇宙生物学者は、発見する可能性のある生物の種類についてのみ推測します」「最も発見するであろう生命体は微生物で、おそらくバクテリアのようなものでしょう」と語りました。
研究チームは惑星をまたいで地球外生命体が地球へ侵入してくる可能性は「非常に低い」と考えています。これは宇宙環境が過酷なものであるため、例えば宇宙船に付着した地球外生命体が地球へやってくるまで生き延びることは非常に困難なためです。それでもリッチャルディ氏ら研究チームは、地球外生命体が地球に及ぼす可能性のある悪影響に「注意を払う必要がある」と述べ、地球外生命体が宇宙船に付着して地球へやってくる可能性は「ゼロではない」としています。
人類は自然では到達できない新しい環境に侵略的な外来種を持っていくことで、世界の生態系に大きな被害をおよぼしてきた過去があります。例えば、南アフリカの真菌の一種であるAustropuccinia psidiiが人の手でオーストラリアに持ち込まれた際には、オーストラリアのユーカリの木で繁殖し、成長を阻害したり殺したりしました。
研究チームはオーストラリアのような島国は特に侵略的な外来種に対して脆弱であると指摘。「生物学的な侵略は、植物や動物に壊滅的な打撃を与えることがあります」「生命を含む可能性のある惑星や衛星は、地球における島国のように扱われるべきです」とリッチャルディ氏は語り、地球外生命体を地球に持ち込むことおよび地球の生物を地球外へ持ち込んでしまうこのとの両方の危険性を説いています。
実際、2019年にはイスラエルの探査機が月に衝突し、数千匹のクマムシが乾燥状態で探査機の中に格納されていたことが発覚。これにより、月でクマムシが繁殖する可能性が報じられました。このような事態が起こることをリッチャルディ氏ら研究チームは危惧しているというわけ。
月面に墜落した月探査機に数千匹のクマムシが乗っていたことが発覚、月面で繁殖する可能性も - GIGAZINE
by Juhasz Imre
リッチャルディ氏は科学系メディアのLive Scienceに対して、「地球を超えた生命の探索は、それほど遠くない未来に大きな発見をもたらす可能性のある刺激的な試みです」「宇宙探査の増加によるリスクの増加に対応するため、生物学的汚染リスクを減らしていくことが重要です」と語り、民間企業による宇宙開発が増えるに伴い、地球外生命体が地球へやってくるリスクが増加していると警告しています。
なお、人類初の月への有人宇宙飛行計画である「アポロ計画」でも同じような懸念があり、その際は明治うがい薬の有効成分であるポビドンヨードが宇宙由来の細菌の洗浄・消毒に使用されました。
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