「透明な木材」がプラスチックに取って代わる可能性
近年、多くの飲食店で紙製のストローが採用されるなど、脱プラスチックの動きが進んでいます。プラスチックの代替素材としては紙の他に「透明で丈夫な木材」なども開発されているのですが、新たにインド工科大学の研究チームが「プラスチックから透明な木材への移行は環境保護に有効である」とする分析結果を公開しました。
Life cycle assessment of transparent wood production using emerging technologies and strategic scale-up framework - ScienceDirect
https://doi.org/10.1016/j.scitotenv.2022.157301
Transparent wood could soon replace plastics
https://www.scidev.net/asia-pacific/news/transparent-wood-could-soon-replace-plastics/
木材を透明に加工する技術は複数の研究機関で開発されています。開発当初は木材を透明化するために有害な化学物質を用いる必要がありましたが、近年の研究開発によって比較的安全な物質を用いて木材を透明化することが可能になりました。例えば、メリーランド大学が2021年に発表した木材透明化技術では、過酸化水素水を用いて木材を漂白し、エポキシ樹脂を浸透させるという手法が採用されています。
ガラスよりも軽くて丈夫な透明の木材が開発される - GIGAZINE
インド工科大学の研究チームは、木材透明化技術の手法ごとに環境にかかる負荷を分析しました。その結果、水酸化ナトリウムや亜硫酸ナトリウム、過酸化水素などの物質を用いる木材透明化技術は、亜塩素酸ナトリウムやアクリル樹脂を用いる技術と比べて地球温暖化係数が24%低く、酸性化係数が15%低くなることが明らかになりました。
さらに、過酸化水素などの物質を用いる木材透明化技術の生産規模を工業規模に拡大した場合、実験室規模の生産と比べて電力消費量が98.8%低くなることも判明。研究チームはこれらの結果から「プラスチックは壊れやすいガラスの代替品として利用されていますが、生分解性を持った透明な木材はプラスチックよりも優れた代替品として利用できます」と述べ、透明な木材の有用性を強調しています。
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