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「ディープステートの陰謀で自分のサイトがGoogle検索で表示されない」と議員が主張するもメタタグで検索ブロックしていただけと判明


アメリカのアリゾナ州議会で下院議員を務めるマーク・フィンチェム氏は、「自分の選挙キャンペーンサイトがGoogleの検索結果に表示されないのはディープステートのアルゴリズムによるものだ」と主張していました。ところが、実際にはディープステートの陰謀などではなく、ウェブサイトのソースコードに検索インデックス登録をブロックするメタタグが挿入されていただけだったことが判明しました。

Mark Finchem says Google is blocking his campaign site. It isn't.
https://www.grid.news/story/misinformation/2022/10/07/mark-finchem-says-google-and-the-deep-state-are-blocking-his-campaign-site-the-truth-is-simpler-and-implicates-his-own-team/

Arizona GOP Secretary Of State Candidate Insists ‘Deep State’ Google Is Blocking His Website; Turns Out He Requested It Not Be Indexed | Techdirt
https://www.techdirt.com/2022/10/07/arizona-gop-secretary-of-state-candidate-insists-deep-state-google-is-blocking-his-website-turns-out-he-requested-it-not-be-indexed/

共和党所属のフィンチェム氏は、「ドナルド・トランプ前大統領が落選した2020年のアメリカ大統領選挙で不正があった」と主張する政治家の1人であり、陰謀論的な発言が多いことでも知られる人物です。2022年8月にアリゾナ州で開催された予備選挙ではトランプ氏の支持を受けて、アリゾナ州州務長官選挙の共和党候補として選出されました。


そんなフィンチェム氏は2022年10月、「Googleとカリフォルニアの詐欺師は、ディープステート・アルゴリズムで私のウェブサイトをランク付けすることを拒否しています。有権者が見られるように、私のウェブサイトとリンクを共有してください」とTwitterに投稿しました。ディープステートとは、アメリカの連邦政府や金融機関、産業界が秘密のネットワークを組織しており、アメリカの中枢で権力を行使しているという陰謀論のことです。


数日後には、「Googleで私のウェブサイトが見つかりません。これはすべてのアリゾナ州民とアメリカ人を怒らせるはずです。いや、すべての自由な人々を怒らせるでしょう。大手テクノロジー企業が有力候補のウェブサイトを検閲しています。これを広く共有し、リンクしてください」とツイートし、陰謀によって自身のウェブサイトがGoogle検索から除外されているという主張を繰り返しました。


これらの発言を受けて、海外メディアのGrid Newsがフィンチェム氏の選挙キャンペーンサイトを検索してみたところ、確かにGoogle検索で見つけることはできなかったとのこと。そこでウェブサイトのソースコードを調べてみると、ウェブサイトの検索インデックス登録をブロックする「noindex」というメタタグが、WordPressのSEO用プラグインであるAIOSEOを通じて埋め込まれていることが判明しました。


noindexが挿入されているウェブページは検索エンジンのデータベースに登録されないため、検索結果にも表示されなくなります。つまり、フィンチェム氏の選挙用ウェブサイトが検索結果に表示されないのは陰謀ではなく、挿入されていたメタタグが正常に機能していただけだったというわけです。

デジタル権利団体のCenter for Democracy and Technology(民主主義と技術センター)で上級技術者を務めるWill Adler氏は、「ここには2つの可能性があります。1つは、フィンチェム氏のチームがウェブサイトをインデックスに登録しないよう、誤って設定してしまったという可能性です。もう1つは、ウェブサイトがインデックスに登録されないよう意図的に設定し、フィンチェム氏がそれを『アルゴリズム』のせいにしたという可能性です」と指摘しています。

Adler氏によると、フィンチェム氏のチームが使用したと思われるソフトウェアでは、「検索結果に表示する」というオプションで「いいえ」を選択しないと「noindex」が挿入されないとのこと。「率直に言えば、選挙キャンペーンを実施している時にそう設定するのは奇妙なことだと思います」と、Adler氏はコメントしました。


また、Grid Newsがウェブサイトのアーカイブを調べたところ、「noindex」タグは最初から挿入されていたものではなく、2022年7月中旬から8月1日の間に挿入されたこともわかっています。

Grid Newsの問い合わせに対し、フィンチェム氏は回答しませんでしたが、Googleの広報担当者はフィンチェム氏の主張は誤りだと回答しました。広報担当者は、「このサイトのウェブマスターはGoogleやその他の検索エンジンに対し、このページを検索結果に含めないように『noindex』ディレクティブを使用して指示しています」「検索結果への掲載を希望する場合は、『noindex』ディレクティブを削除することが可能です」と述べました。

一連の調査結果についての記事をGrid Newsが掲載した数時間後、フィンチェム氏のウェブサイトから「noindex」タグが削除され、検索結果にも表示されるようになりました。記事作成時点ではデータベースのランキングが高くないのか、「Mark Finchem site」と検索しても4ページ目まで表示されませんでしたが、URLの一部である「votefinchem」を含めると1ページ目の上位に表示されます。


なお、以下がフィンチェム氏の選挙キャンペーンサイトですが、記事作成時点ではすでにソースコードが修正されています。

Mark Finchem for Secretary of State • Just Follow The Law
https://votefinchem.com/

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in ネットサービス, Posted by log1h_ik

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