ついに火星で稼働を開始したNASAの酸素ジェネレーター「MOXIE」とは?
火星は太陽系の中では比較的地球に近い環境を持っており、人間の移住先としても注目されています。そんな火星で酸素を作り出すために、ブリーフケースほどの大きさの装置「MOXIE」がNASAによって開発されており、すでに火星で酸素生成を始めています。
Mars Oxygen In-Situ Resource Utilization Experiment (MOXIE) - NASA Mars
https://mars.nasa.gov/mars2020/spacecraft/instruments/moxie/
MIT’s MOXIE experiment reliably produces oxygen on Mars | MIT News | Massachusetts Institute of Technology
https://news.mit.edu/2022/moxie-oxygen-mars-0831
酸素生成装置MOXIEは、火星無人探査機「パーサヴィアランス」と共に、火星へと投入されました。パーサヴィアランスにはMOXIE以外にも高画質カメラや岩石収集装置などが搭載されており、火星での稼働開始以降、多様なデータを地球に送信しています。パーサヴィアランスが取り組んでいる任務の概要は、以下の記事で確認できます。
火星着陸が秒読みに入ったNASAの探査機「パーサヴィアランス」の機能と任務まとめ - GIGAZINE
そんなパーサヴィアランスに搭載されているMOXIEの外観が以下。大きさは23.9cm×23.9cm×30.9cmで、重量は17.1kgです。火星の大気には酸素がわずか0.13%しか含まれておらず、人間の生活には適していません。また、地球と火星の距離を考えると「火星で行動するための酸素を地球から持ち込む」という手法も非現実的です。将来的に火星での有人探査を目指しているNASAは、現地で酸素を生成できるように、MOXIEを開発しました。
MOXIEでは、火星の大気から二酸化炭素を回収し、二酸化炭素を約800度まで加熱してから酸素と一酸化炭素に分解することで人間の活動に必要な酸素を生成します。MOXIEは2021年に7回にわたって合計49.9gの酸素を生成したとのこと。MOXIEの副研究主任であるジェフリー・ホフマン氏は「MOXIEによる酸素生成は、地球以外の惑星の資源を使用して人間の役立つ物質に化学的に変換する最初のデモンストレーションです。これは歴史的なことです」と述べ、MOXIEの成果をアピールしています。
なお、記事作成時点で火星で稼働しているMOXIEはテスト用の小型モデルで、実際に長期ミッションで必要な酸素を生成するには、100倍大きなサイズのMOXIEが必要とのことです。
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