Apple PayがChromeなどの非Safariブラウザにもついに対応することがiOS 16のベータ版で判明、EUのデジタル市場法に対応か

Appleが展開する決済サービス「Apple Pay」が、iOS 16でついにChrome・Edge・Firefoxなどの非Safariブラウザと互換性を持つ可能性が示されました。iOS 16のベータ版を試用したユーザーにより多数報告されています。

Third-Party Browsers Starting to Support Apple Pay in iOS 16 Betas - MacRumors
https://www.macrumors.com/2022/08/01/third-party-browsers-to-support-apple-pay/

Apple Pay may finally work on Chrome, Edge, and Firefox in iOS 16 - The Verge
https://www.theverge.com/2022/7/30/23284992/apple-pay-compatible-edge-chrome-firefox-ios-16-beta-browsers-safari

2022年7月30日、iOS 16のベータ4を試用した開発者のスティーブ・モーザー氏が「Apple PayがEdgeとChromeで動作する」と報告し、Edgeのスクリーンショットを共有しました。画面には「Continue with Apple Pay」の表示が見られ、EdgeでApple Payの決済が動作する様子が映し出されています。

また、同日にはソーシャルサイトのHacker Newsで「iOS 16のベータ3で、FirefoxとChromeでApple Payが動作した」と報告されています。

iOS 15までは、SafariでのみApple Payが利用可能となっていたため、Apple Payを使って決済したい場合はSafariを利用する必要がありました。iOS 16のベータ版で確認されたApple Payのサードパーティー製ブラウザへの対応は、欧州連合などが進めるビッグ・テックの市場独占を防ぐための法規制「デジタル市場法(DMA)」への対応としてもたらされたものと見られています。デジタル市場法は、企業による「自社サービスの優遇」といった反競争的な行動を禁じるための法律です。

Appleを始めとするビッグ・テックは、自社以外の決済サービスに高額な手数料を設定したり、自社コンテンツを不当に優遇したりしているとして、各国の規制当局から独占禁止法違反の疑いで調査を受けています。

なお、Apple PayがmacOSでは最新のベータ版でもSafari以外で機能しない理由は、ブラウザのレンダリングエンジンにあります。iOSではChrome・Edge・Firefoxといったサードパーティー製のブラウザに対して、Safariと同じレンダリングエンジンのWebKitを使用することを義務付けていますが、macOSでは各ブラウザがWebKit以外のレンダリングエンジンを利用しているため、Apple Payが利用できないままとなっているようです。