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「デジタル市場法」最終案に欧州理事会と欧州議会の担当者が合意、WhatsAppやiMessageに小規模メッセージングアプリとの相互運用性を求める内容


「ゲートキーパー」として機能する大規模プラットフォームによる市場の支配を制限し、公平な競争を実現するための「デジタル市場法(Digital Maekets Act:DMA)」の最終案について、欧州理事会と欧州議会の担当者が合意しました。「ゲートキーパー」とみなされた企業が法律で定められた規則に違反した場合、全世界売上高の最大10%の罰金が科せられます。

Digital Markets Act (DMA): agreement between the Council and the European Parliament - Consilium
https://www.consilium.europa.eu/en/press/press-releases/2022/03/25/council-and-european-parliament-reach-agreement-on-the-digital-markets-act/


Deal on Digital Markets Act: ensuring fair competition and more choice for users | News | European Parliament
https://www.europarl.europa.eu/news/en/press-room/20220315IPR25504/deal-on-digital-markets-act-ensuring-fair-competition-and-more-choice-for-users

「GAFA」や「ビッグテック」と称される一部IT企業による市場の寡占状態が問題視される中、欧州委員会は、大企業が小規模企業の競争を阻害しないよう義務を課し、違反すると全世界の売上高の最大10%を罰金として課す「デジタル市場法」を提案。

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デジタル市場法の草案は2021年11月に承認され、欧州理事会と欧州議会で、施行に向けて交渉が行われてきました。

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今回の発表は、その最終案に両者が合意したというもの。

「ゲートキーパー」の条件について、提案時は「ヨーロッパでの収益が65億ユーロ(約8200億円)以上、またはユーザー数が4500万人以上の企業」「EU圏内で最低3つの企業を運営しており、ライバルが顧客にリーチするために自社サービスを使う必要があり、市場でのポジションが定着している企業」となっていましたが、最終案では「過去3年間にEU内での年間売上高が少なくとも75億ユーロ(約1兆円)以上、あるいは市場評価額が少なくとも750億ユーロ(約10兆円)」および「EUで少なくとも月間エンドユーザーが4500万あるいはビジネスユーザーが1万」となっていて、加盟国のうち3カ国で1つ以上のコアプラットフォームを運営していることが条件となっています。コアプラットフォームにはマーケットプレイス、アプリストア、検索エンジン、ソーシャルネットワーキング、クラウドサービス、広告サービス、音声アシスタント、ウェブブラウザが含まれます。


これとは別に、「競争力は証明されているがまだ持続可能でない」企業を対象に「新興ゲートキーパー」カテゴリーが設けられます。

ゲートキーパーには、ユーザーにサブスクリプションの開始時と同様に停止できる権利を与えることや、ウェブブラウザのような重要ソフトウェアをOSインストール時にデフォルトで要求しないこと、NFCチップなどスマートフォンの補助機能にアプリ開発者が公平にアクセスできるようにすること、販売者がプラットフォーム上のマーケティング情報や広告のパフォーマンスデータへアクセスできるようにすることなどが求められます。

興味深いものとしては、「インスタントメッセージングサービスの基本機能の相互運用性を確保する必要がある」という条件が挙げられます。これは、たとえばWhatsAppやiMessageが、小規模なメッセージングアプリの開発者が求めた場合には相互運用性を確保しなければならないというもので、プラットフォームの大小を問わずに、複数のアプリ間でメッセージのやりとりやファイルの送受信、ビデオ通話ができるようになります。

今回の合意はまだ担当者レベルのもので、欧州理事会と欧州議会による承認後に発効となります。発効後は6カ月以内に施行となるため、メッセージングサービスを提供する大規模プラットフォームにとっては戦々恐々の状況といえます。

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in メモ, Posted by logc_nt

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