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GoogleやAmazonの不公正な有害行動を終結させる「デジタル市場法」立法案が圧倒的多数で承認へ


「既存のルールは巨大テクノロジー企業に対して十分に機能していない」として欧州委員会(EC)で議論されていた新しい法案「デジタル市場法」の立法案が2021年11月23日(火)、賛成42票、反対2票、棄権1票という圧倒的多数で承認されました。法案の中では未成年者に対する行動ターゲティングの禁止や、企業が意図的にユーザーをだますダークパターンの禁止などが含まれます。

Digital Markets Act: ending unfair practices of big online platforms | News | European Parliament
https://www.europarl.europa.eu/news/en/press-room/20211118IPR17636/digital-markets-act-ending-unfair-practices-of-big-online-platforms

EU Parliament Takes First Step Towards a Fair and Interoperable Market | Electronic Frontier Foundation
https://www.eff.org/deeplinks/2021/11/eu-parliament-takes-first-step-towards-fair-and-interoperable-market

EU Parliament committee brings consumer interest forward in Digital Markets Act | www.beuc.eu
https://www.beuc.eu/publications/eu-parliament-committee-brings-consumer-interest-forward-digital-markets-act/html

Google・Amazon・Facebookといった巨大テクノロジー企業による市場独占が問題視されるようになり、2020年末には欧州委員会(EU)がこれらビッグ・テックの力を抑制するために「Digital Services Act」(デジタルサービス法)と「Digital Markets Act」(デジタル市場法)を提案しました。デジタルサービス法は広範なオンライン仲介者に対し違法コンテンツの削除などを求めるものであり、デジタル市場法は「ゲートキーパー」に該当する企業が自社優先といった反競争的な行動をとることを防ぐことを目的としています。

GoogleやAmazonなどに罰金として収益の最大10%を科す「デジタル市場法」や「デジタルサービス法」をEUが提案 - GIGAZINE


そして2021年11月23日(火)、デジタル市場法の草案が可決されました。草案の内容は以下を含みます。

・企業のメッセージアプリおよびソーシャルメディアアプリは相互運用可能とし、ユーザーが「友人がこちらにいる」といった理由でいずれかのアプリを選ばざるを得ない状況を避けなければならない。
・未成年者に対する行動ターゲティングの禁止。
・新たな法律に違反する場合、企業の世界規模の年間売り上げに対して最大20%の罰金を科す。
・複数サービスで収集したデータを1か所で集約するには、消費者の同意が必要。また、集約を拒否したユーザーに対して低品質なサービスを提供することの禁止。
・ユーザーを意図的にだますデザイン「ダークパターン」の禁止。
・キラー買収の制限。
・企業がデジタル市場法に違反した場合、消費者が速やかに集団訴訟することへの保証。

また、ゲートキーパーに該当するかどうかの基準も公開されました。ゲートキーパーはオンライン仲介サービス、ソーシャルネットワーク、検索エンジンなど「コアプラットフォームサービス」を提供する主要企業のうち、少なくともEUの3か国でサービスを提供しており、月間エンドユーザーが4500万人以上、ビジネスユーザーが1万人以上となる必要があるとのこと。記事作成時点ではAmazon・Google・Facebook・Microsoft・Apple・Booking.comが含まれます。


欧州消費者機構(BEUC)のMonique Goyens氏は規制の強化について「EU機関が消費者のために立ち上がって、デジタル市場に健全な公平性と開放性をもたらす時が来ました」とコメント。また「過去の事例から規制の実施には時間がかかりすぎることや、資金を豊富に持つ巨大テクノロジー企業にとって罰金が意味のないことを学びました。このデジタル市場法は企業の有害なビジネスモデルを根本から変える可能性があります」とも述べました。

Googleは商品検索サービス「Googleショッピング」で自社サービスを優遇しているとして3000億円超の制裁金が科せられましたが、この判決が下されたのは調査から12年後でした。Goyens氏が言及しているのは、このような事例についてであり、裁判が長引くことで企業の行動が是正されないまま消費者に悪影響が及ぶと考えられています。

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欧州議会の域内市場・消費者保護委員会(IMCO)はゲートキーパーに対して直接かつ即時的な禁止事項および義務を発生させることに同意しており、企業の自社製品優遇に対する規制が強化される見込みです。また、2021年12月の本会議でこの草案についての投票が行われた後、2022年からEU加盟国や委員会との交渉が始まり、2022年内には法が施行される予定となっています。

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in ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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