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GoogleやAmazonなどに罰金として収益の最大10%を科す「デジタル市場法」や「デジタルサービス法」を欧州委員会が提案


欧州委員会は2020年12月15日(火)に、巨大テクノロジー企業の力を抑制する新たな法律の提案を行いました。「Digital Services Act」(デジタルサービス法)「Digital Markets Act」(デジタル市場法)と呼ばれる一連の提案は規則に従わない企業に対し収益の最大10%を罰金として課す強力なものとなっています。

Proposal for a REGULATION OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL on a Single Market For Digital Services (Digital Services Act) and amending Directive 2000/31/EC
(PDFファイル)https://ec.europa.eu/info/sites/info/files/proposal_for_a_regulation_on_a_single_market_for_digital_services.pdf

EU's Digital Services Act Proposes New Content Removal Rights and Rules * TorrentFreak
https://torrentfreak.com/eus-digital-services-act-proposes-new-content-removal-rights-and-rules-201215/

Europe rewrites rulebook for digital age – POLITICO
https://www.politico.eu/article/europe-digital-markets-act-services-act-tech-competition-rules-margrethe-vestager-thierry-breton/

Tech Giants Face New Rules in Europe, Backed by Huge Fines - WSJ
https://www.wsj.com/articles/tech-giants-face-new-rules-in-europe-backed-by-huge-fines-11608046500

Digital Markets Act: EU's new rules on Big Tech
https://www.cnbc.com/2020/12/15/digital-markets-act-eus-new-rules-on-big-tech.html

GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)に代表される巨大テクノロジー企業が市場を独占しているという点について、ヨーロッパやアメリカでは調査が続いていますが、新たな提案はこれらの企業の影響力を抑制し市場に競争を取り戻すことを目的としています。

まず、デジタルサービス法はオンラインの仲介者に対し、違法コンテンツを迅速に削除し、削除したことをユーザーに透明性をもって伝えることを要求するもの。そしてデジタル市場法は、「ゲートキーパー」に該当する企業が自社優先といった反競争的な行動をとることを防ぐことを目的としています。


欧州委員会競争政策担当委員のマルグレーテ・ベステアー氏は「2つの提案は1つの目的を達成するためのものです。つまり、私たちユーザーが安全な製品やオンラインサービスについて幅広い選択肢を得られるようにするものです」と述べました。

2つの提案の違いとして、まず適用範囲が挙げられます。デジタル市場法は「ゲートキーバー」に該当する企業向けに調整されており、一方でデジタルサービス法はより幅広い「オンライン仲介サービス」について定められるものです。EUによると、この「オンライン仲介サービス」には、ネットワークインフラストラクチャーを提供するサービスや、クラウドサービス、小規模なオンラインプラットフォームなど、幅広いものが該当するとのこと。


デジタルサービス法は違法コンテンツを削除するメカニズムの改善を目的としており、提供するサービスによって、その企業に課される要件が変わります。このためクラウド企業が課される義務はSNSに課される義務よりも少なくなることなどがわかっています。また企業は削除するコンテンツの種類と理由についてユーザーに透明性を提供し、ユーザーがモデレーションに対し異議を唱える仕組みなども確立する必要があります。そして企業が法律に違反した場合、全世界収益の最大6%を罰金として課されるとのこと。

一方でデジタル市場法は、より対象となる企業が限られています。欧州委員会は「ゲートキーパー」に該当する企業名を挙げませんでしたが、「ヨーロッパでの収益が65億ユーロ(約8200億円)以上、またはユーザー数が4500万人以上の企業」「EU圏内で最低3つの企業を運営しており、ライバルが顧客にリーチするために自社サービスを使う必要があり、市場でのポジションが定着している企業」とされており、GAFAが該当すると考えられます。ゲートキーパーは規制当局による監視が強化され、小規模な企業の競争を妨害しないように義務が課されます。デジタル市場法に従わない企業は、全世界収益の最大10%が罰金として課される予定です。

これまでもGoogleやAmazonが自社製品を優先して表示しており、これが市場独占行為にあたるということは繰り返し指摘されてきました。

Amazonが自社ブランドの商品を他社製品より目立つ位置に表示させているという指摘 - GIGAZINE


Googleの検索結果上位は「Googleが所有するウェブサイト」に占められているとの指摘 - GIGAZINE


ただし、上記の内容はあくまでまだ提案にすぎないという点には注意が必要。EUは2018年にデータ保護規則「GDPR」を施行しましたが、GDPRの施行には何年もかかりました。これと同様にデジタルサービス法やデジタル市場法も法律の制定や施行までにまだまだ時間を要するとみられています。一方で、GDPRの施行で世界的なオンラインプライバシーのあり方が変化したように、新たな2つの提案も、同様の影響力があると専門家はみています。

なお、GAFAはこのようなEUの動きに対してデジタルロビー活動を行っていることも報じられています。

EUの新規制をめぐって繰り広げられている「デジタルロビー活動」の実態とは? - GIGAZINE

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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