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Apple・Google・Metaなどの大企業を規制し売上高の最大10%の罰金を科す「デジタル市場法」が欧州理事会の最終承認を受ける


欧州連合(EU)の政策執行機関である欧州委員会(EC)は2020年12月、これまでの規制はAppleやGoogleなどの巨大テクノロジー企業(ビッグ・テック)の市場独占を防ぐのに不十分だとして、違反した企業に全世界売上高の最大10%の罰金を科す「デジタル市場法」を提案しました。デジタル市場法はその後も着実に立法へ近づいていき、2022年7月18日の声明で、ついにEU加盟国の首脳やEC委員長らで構成される欧州理事会がデジタル市場法を最終承認したと報告されました。

DMA: Council gives final approval to new rules for fair competition online - Consilium
https://www.consilium.europa.eu/en/press/press-releases/2022/07/18/dma-council-gives-final-approval-to-new-rules-for-fair-competition-online/


European Council approves Digital Markets Act rules | AppleInsider
https://appleinsider.com/articles/22/07/19/european-council-approves-digital-markets-act-rules

デジタル市場法はGoogle・Amazon・Metaなどのビッグ・テックの力を抑え、市場独占の問題を解消するため、「デジタルサービス法」と共にECが提案した法律です。デジタルサービス法は広範なオンライン仲介者に迅速な違法コンテンツの削除などを求めるのに対し、デジタル市場法は大規模なオンラインプラットフォーム「ゲートキーパー」に該当する企業に対し、自社サービスの優遇など反競争的な行動を取ることを禁じるものとなっています。


具体的には、ゲートキーパーと認定された企業は「すべてのアプリをアンインストール可能にする」「中核のプラットフォームサービスを簡単に購読解除できるようにする」「複数のメッセージングサービス間でテキストメッセージ・音声メッセージ・ファイルの送受信といった基本機能の相互運用を可能にする」「開発者がアプリでサードパーティーの支払いシステムを提供できるようにする」「ビジネスユーザーにプラットフォーム上のマーケティングまたは広告パフォーマンスデータへのアクセスを許可する」といったことが求められます。

さらに、ゲートキーパーが禁じられる事項としては、「自社製品やサービスを他社のものより高くランク付けする」「特定のアプリやソフトウェアをプリインストールし、ユーザーが簡単にアンインストールできないようにする」「OSのインストール時にブラウザなど重要なソフトウェアのインストールを義務づける」「開発者がサードパーティーの支払いシステムを使うのを禁じる」「あるサービスが収集した個人データを別のサービスで再利用する」といったものがあります。これらの事項に違反したゲートキーパーには、全世界の総売上高の最大10%の罰金が科せられ、再犯した場合は最大20%に罰金が引き上げられるとのこと。

2021年11月にはデジタル市場法の草案がECで承認され、2022年3月には最終案について欧州理事会と欧州議会の担当者が合意するなど、デジタル市場法は着実に立法への道を進んできました。そして7月、デジタル市場法とデジタルサービス法がひとまとめになった「デジタルサービスパッケージ」が、欧州議会で正式に承認されました。

EUがApple・Google・Metaらビッグ・テックを規制するために作った「デジタル市場法」や「デジタルサービス法」が「デジタルサービスパッケージ」としてひとまとめにされ正式に承認される - GIGAZINE


デジタルサービスパッケージは2022年秋の発効前に欧州理事会の最終承認が必要とされており、欧州理事会は2022年7月18日の声明で、デジタル市場法に最終承認を与えたことを報告しました。今後、欧州議会議長と欧州理事会議長が署名してEUの官報に掲載すれば、6カ月後に規制が適用されます。なお、デジタルサービス法については2022年9月に欧州理事会で採択される予定だとのこと。

チェコ共和国の地域開発大臣およびデジタル化担当副首相を務めるIvan Bartoš氏は、「デジタル市場法の最終的な採択により、私たちはついに、大規模なオンラインプラットフォームにその行動の責任を負わせることになります。これにより、EUは世界中のオンライン空間を変えることになります。デジタル市場法が対象とするゲートキーパーはどこにでも存在し、私たちはみな、日常的に彼らのサービスを使っています。しかし、彼らの力は競争に悪影響を与えるほどに増大しています。デジタル市場法のおかげで、私たちはオンラインでの公正な競争・消費者の利便性向上・中小企業の新たなビジネスチャンスを確保できます」と述べています。

ソーシャルニュースサイトのHacker Newsでは欧州理事会によるデジタル市場法の最終承認について、「デジタル市場法に準拠することで、逆にiPhoneの購入が選択肢に入ってくる」というコメントや、「すでに人々はアプリのサイドローディングが容易なAndroidを購入するか、囲い込みが強力なiPhoneを購入するかの選択を行っている」という指摘、「ヨーロッパではiOSがAndroidに遅れを取っているが、デジタル市場法の施行でより多くのヨーロッパ人がiPhoneを購入するだろう」という意見も見られました。

EU Digital Markets Act, aimed at Google, Apple, Amazon, approved | Hacker News
https://news.ycombinator.com/item?id=32163704

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in モバイル,   ソフトウェア,   ネットサービス,   ハードウェア, Posted by log1h_ik

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