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「ポジティブシンキング」じゃなくてもOK?怒りや後悔などネガティブな気持ちにも意外なメリットがあると専門家


「ネガティブな感情が持続しやすい脳を持つ人は不幸だと感じがち」との研究結果があるように、一般にネガティブな思考はよくないものとされているため、人はできるだけポジティブになろうとします。しかし怒りや後悔、心配といった一見するとデメリットばかりに思えるネガティブな心理状態にもメリットがあることについて、専門家が解説しました。

Struggling with positive thinking? Research shows grumpy moods can actually be useful
https://theconversation.com/struggling-with-positive-thinking-research-shows-grumpy-moods-can-actually-be-useful-185883

イスラエルのヘブライ大学で行動経済学を研究しているエヤル ・ウィンター氏によると、近年の心理療法の分野では、メンタルが既に健康な人の幸福度をさらに高めることに焦点を当てた「ポジティブ心理学」が広がりを見せているとのこと。


ポジティブ心理学では「今日という日を大切にし、今を生きましょう」というアドバイスがよく行われます。これはウィンター氏が「後悔(Regret)」「怒り(Anger)」「心配(Worry)」の頭文字を取って「RAW感情」と呼んでいるネガティブな感情を避け、現在に集中することで過去に対する後悔や怒り、未来に対する心配にとらわれないようにすることを目指したアドバイスだと言えます。

一見すると、今に集中することはそれほど難しいことではないように思えますが、実は人間にとっては困難なことだとウィンター氏は指摘しています。なぜなら、本能や反射神経を駆使して生きている単純な動物とは異なり、人間は過去の出来事から学習し、それを生かして未来の計画を立てる能力によって生存競争を生き抜いてきたからです。

例えば、過去を振り返って苦々しい気持ちになる「後悔」は、自分の失敗から学んで同じ過ちを繰り返さないために不可欠な心のメカニズムです。同様に、未来のことについて頭を悩ませる「心配」も、将来的に利益を得たり大きな失敗を回避したりする上で大切です。もし将来の心配を全くしなければ勉強に力を入れたり、健康に気を配ったり、食料を蓄えたりしないので悲惨な未来を迎えてしまう可能性があります。


後悔や心配と同じく、「怒り」も有用な感情だということが分かっています。ウィンター氏らが行った2010年の研究によると、怒りには他者による攻撃から身を守り、周囲の人がその人の利益を尊重することを促す効果があるとのこと。また、交渉の際にある程度怒りの感情を持っているといい結果につながるという研究結果もあります。

さらに、一般的にネガティブな気分だと人は懐疑的になり、だまされにくくなるという効果も得られます。一方、楽観主義に偏り過ぎると思慮を欠いた決断をしがちになり、例えば成功する見込みが低いプロジェクトに全資金を投入してしまうような失敗を犯しかねません。また、過度な楽観は自信過剰につながって人間関係に支障を来すことがあるほか、困難な仕事に対して準備不足のまま挑んで失敗し、揚げ句の果てに他の人のせいにしてしまうこともあります。

こうした観点からウィンター氏は、「それでは、私たちは本当にもっと楽観的にならないといけないのでしょうか?」と問いを投げかけました。

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in メモ, Posted by log1l_ks

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