オンライン送金サービス「Wise」CEOの税金滞納について規制当局が調査
2011年創業のオンライン送金サービス「Wise」(元TransferWise)のCEOで共同創業者であるクリスト・カーマン氏が72万ポンド超(約1億2000万円)の税金を滞納した一件について、英国金融行為監視機構(FCA)による調査が行われました。カーマン氏はすでに歳入関税庁から36万ポンド(約6000万円)の罰金を科されていて、FCAが「不適任」と判断した場合、カーマン氏はWiseのCEOを辞めるだけにとどまらず、金融業界を去らなければならない可能性が出てきます。
FCA investigates Wise CEO Kristo Kaarmann over tax default
https://www.cnbc.com/2022/06/27/fca-investigates-wise-ceo-kristo-kaarmann-over-tax-default.html
FCA investigates Wise cofounder after tax default | Financial sector | The Guardian
https://www.theguardian.com/business/2022/jun/27/fca-investigates-wise-kristo-kaarmann
How Wise co-founder went from tech darling to tax list of shame | Financial sector | The Guardian
https://www.theguardian.com/business/2022/jun/27/wise-co-founder-tax-fca-kristo-kaarmann
Wise CEO Kristo Kaarman Investigated by FCA After Tax Breach, Company Says - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2022-06-27/wise-says-uk-s-fca-is-investigating-ceo-kaarman-after-tax-breach
カーマン氏が罰金を科されたのは2017~2018年度の納税分で、個人納税申告書の提出が遅れ、その後、延滞金とともに支払うべきものは支払ったとのこと。
Wiseによると、この件についてカーマン氏が規制上の義務や基準を満たさなかったどうか、FCAによる調査が行われ、Wiseの取締役会は外部の弁護士を雇ってFCAの調査に協力したそうです。調査は2021年第4四半期に完了しています。
取締役会議長のデビッド・ウェルズ氏は、カーマン氏の税務違反とFCAによる調査を極めて真剣に受け止めており、「CEOとしてのクリストを引き続きサポートしつつ、FCAからの要請があればいつでも全面的に協力します」と述べています。
なお、FCAがカーマン氏に適正なしと判断した場合、カーマン氏はCEOからの退任を余儀なくされ、金融業界で働けなくなる可能性もあるとのこと。
カーマン氏はエストニアの首都タリン出身。ロンドンの4大会計事務所の1つであるデロイトで働いているとき、クリスマスのボーナスを母国に送金しようとしたところレートの問題で500ポンド損した上に15ポンドの手数料を取られてしまった経験から、Skypeの最初の社員だったターヴェット・ヒンリクス氏とともに海外送金時の「ぼったくり」を回避するサービス・TransferWiseのアイデアを思いつきました。
その後、イギリスのコングロマリット・ヴァージングループの創業者リチャード・ブランソン卿やSkype創業者のニクラム・ゼンストローム氏、PayPal共同創業者のピーター・ティール氏といった投資家の支援を受け、2011年に会社を創業しました。
2021年2月にTransferWiseは「Wise」に社名変更。2021年10月~12月に取引を行った顧客数は400万人超で、2021年7月に上場し、2021年9月には評価額は120億ポンド(約2兆円)に達しました。この影響で、カーマン氏とヒンリクス氏は億万長者のリストに名を連ねています。なおその後、金利上昇の懸念から投資家の成長株離れがあり、Wiseの株価は上場時評価額の半分以下となる39億ポンド(約6500億円)まで下がっています。
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