Apple Watch向けOSの次期メジャー版「watchOS 9」が発表
Appleの年次開発者会議・WWDC22の中で、Apple Watch向けOSの次期メジャーバージョンとなる「watchOS 9」が発表されました。新しい文字盤や進化したワークアウトアプリ、服用している薬やサプリメントを管理できる服薬アプリなど、ユーザーの健康を促進するような新機能の数々が登場します。
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watchOSの新しいバージョンは「watchOS 9」。watchOS 9では3つの領域で新機能を加えます。
まずは、4つの新しい文字盤が追加。
「アストロノミー文字盤」は大きなディスプレイを活かすよう刷新され……
世界中の雲量を表示可能に。
太陰暦に対応した「ルナ―文字盤」は1000年におよぶ慣習を讃える文字盤。中国歴・イスラム歴・ユダヤ歴に対応します。
アーティストのJoi Fulton氏がデザインした「プレイタイム文字盤」は、ディスプレイをタップすると数字のキャラクターが飛び跳ねるというキュートな文字盤です。
「メトロポリタン文字盤」はデジタルクラウンを回すとダイナミックに数字が伸びるという文字盤。
watchOS 9は刷新されたSiri UIと新しいバナー通知も導入します。
アクティブなアプリケーションはDockの一番上に固定されるため、すぐにアクセス可能。
Podcastアプリは「検索」と「今すぐ聴く」を使って新しいPodcastを発見・フォローしやすくなります。
さらに、ファミリー共有設定を使えば子どももPodcastアプリが利用可能に。
開発者向けにOutcastやWeChatなどのアプリから、コンテンツや選んだ画像を共有するのが新しい共有シートとPhoto Picker APIでより簡単になります
また、CallKitを使えばWebexなどのアプリを使ったVoIP通話をApple Watch上で直接開始/終了したり、ミュートにしたりすることが可能になります。
続いてアクティビティ関連の新機能について。watchOS 9ではより使いやすい測定値や表示を目指してワークアウトアプリに改良が施されます。
ワークアウトアプリのランニングでは、どれだけ効率的に走っているかを計測するために3つのランニングフォーム指標を追加。手首から測定するだけでなく、センサーフュージョンを使うことで胴体の動きを抽出し……
ランニングユーザーがどれだけ上下動しているかを計測。
他にも歩幅の長さと接地時間といった指標を計測することで、ランニングのパフォーマンスを総合的に評価することが可能となります。そして、それぞれの指標は一目で確認可能。
セグメント・スプリット・標高といったおなじみの測定値もデジタルクラウンを回すことでチェック可能です。さらに、心拍数範囲の導入により、今どの範囲内にいるかを簡単に確認可能に。
新しいカスタムワークアウトでは、ユーザーの走りに組み立てを加えることが可能になります。例えば、スピードや持久力の向上に取り組んでいるなら、必要に応じて何度も繰り返せる運動と休憩のセットを含んだ距離と時間のインターバルを用いたワークアウトを作成できるというわけ。
さらに、一定の心拍数範囲でトレーニングしたい場合に利用可能なアラート機能なども用意されており、ランニング中にアラートが触覚と音声のフィードバックで運動と休憩を切り替えるタイミングを教えてくれたり、心拍数が設定した目標範囲を下回った場合にぺースを上げるよう知らせてくれたりします。
iOS 16ではフィットネスアプリがすべてのiPhoneユーザーで利用可能になります。iPhoneのモーションセンサーを使って歩数や距離、上った階数などを測定。
これが推定消費カロリーに換算され、日々のムーブゴールに貢献してくれます。ムーブリングを友だちと共有することで、日々の運動により積極的に取り組むことが可能に。
watchOSの睡眠アプリでは心拍数や呼吸数、血中酸素などの測定値と共に「どれだけ睡眠を取っているか」についての情報をユーザーに提供しています。watchOS 9では睡眠ステージで睡眠をより詳しく理解できるようになります。Apple Watchは加速度センサーと心拍数センサーからの信号を使ってユーザーの睡眠ステージを測定。
ウェアラブル製品としては最大で最も多様な被験者を対象とした睡眠ポリグラフ検査の臨床基準との比較検証が行われました。
睡眠アプリでは各睡眠ステージの時間と目が覚めそうになった時の記録を見ることが可能。
ヘスルケアアプリではさらに詳しい情報をチェックできます。さらに、レム・コア・深いという各睡眠ステージが必要不可欠な役割を持っていることが学べます。
さらに、睡眠アプリを通じた研究を推進するためにApple Heart and Movement Studyの参加者はリサーチアプリで睡眠ステージに関するデータを提供可能となります。「これにより大規模な研究による新しい発見が登場することを期待している」とApple。
Apple Watchが影響を与えたもうひとつの分野が心臓の健康です。Appleは「心房細動通知を受け取り命を救う可能性のある治療を求めた」というユーザーからの報告を複数受け取っているとのこと。
そこで、Appleはユーザーが心房細動と診断された時のサポートも提供することにしたそうです。心房細動履歴により心房細動が起きた時間の長さを記録。
ヘルスケアアプリでは運動・睡眠・体重などの心房細動が発生していた時間の長さに影響を与える可能性がある生活要因を管理することが可能に。心房細動履歴は心房細動の頻度が最も高くなる時間帯や曜日などを特定するのにも役立ちます。
医師とPDFを共有してより有意義な対話を行うことが可能になります。
心房細動履歴は心房細動について長期間にわたって確認するためにAppleが独自に提供する機能です。なお、Appleは心房細動履歴に関するFDAの承認を間もなく得る予定とのこと。
さらに、Appleは服薬についても取り組んでいます。
50%を超える人々が処方薬を服用しており、服用中の薬の確認や管理・理解をより簡単にするために、watchOS 9では服薬アプリが登場します。薬やビタミン剤、サプリメントをいつでも目立たずに便利に管理することが可能となります。
抗アレルギー薬のセチリジンのように時々服用する可能性のある薬を記録したり、定期的に服用が必要な薬の通知を受け取ったりが可能。
さらに、Apple Watchを持っていないユーザーでもヘルスケアアプリを使って同様の薬の管理が可能となります。
iPhoneのカメラで薬のラベルをスキャンすることも可能。
服薬のもうひとつの大事な側面は薬の効果を弱めたり副作用を起こしてしまったりといった、薬の相互作用です。アメリカだけでも薬の相互作用により、毎年25万人近くが入院しているとのこと。
そういった事態を避けるため、重大な相互作用がある場合にはアプリがユーザーに通知して危機を知らせてくれます。
Appleは大手医療出版社のエルゼビアと提携し、服薬アプリの体験全体にわたって臨床的に正確で根拠に基づく情報を提供するとのこと。「極めて重度」「重度」「中等度」といった相互作用に加え、アルコールなどの要因による相互作用についても確認できるようになる予定です。
服薬アプリはiOS 16でアップデートされたヘルスケア共有とも連携します。健康データを共有するように家族に招待を送ることも可能。これにより大切な人の健康状態をチェックすることが可能に。
プライバシーはApple Watchの機能を構築し設計する際の中心となるもの。ヘルスケア関連データはデバイス上で暗号化され、明確な承認がなければ共有されることはありません。また、どの健康データを誰と共有しているかについては定期的に通知を受け取るようになります。
というわけで、watchOS 9の新機能一覧が以下の通り。基調講演では説明されなかったものとしては、6つの新しいキーボード言語対応やwatchOSアプリをApple TVに接続するための開発者向けの新しい方法、ファミリー共有設定で子どもが手首からホーム対応デバイスをコントロール可能になるなどが挙げられています。
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