謎の機構「マングルラック機構」を搭載した100%レゴ製の時計が爆誕
レゴは多様な種類のブロックを組み合わせて色んな物を作れるオモチャです。これまでに紙飛行機自動折り機やロータリーエンジンなどのオモチャの域を越えた作品が達人の手によって生み出されてきました。新たに、レゴを用いた作品を数多く公開しているAkiyuki氏によって「マングルラック機構」という聞き慣れない機構を用いた時計が生み出されています。
「マングルラック機構」が一体どんな機構なのかは、以下のAkiyuki氏による解説ムービーを見るとよく分かります。
周囲に円弧のガイドが設置され、中央に歯車とかみ合う突起が設けられたプレートを用意します。
プレートをレールの上に配置し、突起に歯車をかみ合わせて回転させるとプレートが前後に動きます。これがマングルラック機構です。
マングルラック機構の特徴はプレートの形状によって動作を変化させられることです。
以下のように正方形のプレートを用意し、歯車の位置を固定するとプレートだけを動かすことができます。
ガイドが無い状態だとプレートは不規則に動きますが、以下のようにフォークを搭載したりガイドとなるピンを設置したりすることで、プレートを規則正しく動かすことができます。
そんなマングルラック機構を利用して時計を作成したのが以下のムービーです。
上述の通り、マングルラック機構ではガイドを用意することでプレートを規則正しく動かせます。しかし、「フォークの間にピンをかませる」という手法ではピンの数が必ず奇数になってしまうとのこと。
時計を作成するには秒針を60方向に動かす必要があるため、ピンの数は偶数となります。そこでピンの数が偶数となってもプレートを規則正しく動かせるように「ピンの間にフォーク(針)をかませる」という手法を採用しました。
これが時計のフレーム。ドーナツ状のフレームの内側にはピンが60個付いています。
裏側はこんな感じ。
マングルラック機構の中心部分が以下。赤い棒が秒針の役目を果たします。
しかし、上記の針を装着したところ、目盛り3個分ずつ進んでしまいました。
目盛りを飛ばしてしまう理由は針のストロークが長すぎることにあるとのこと。そこで、マングルラック機構の中心部分の設計を変更し、針のストロークを3分の1に減少させました。
これで、1目盛りずつ進むようになりました。この状態で、モーターを247.5rpmで回転させれば、1秒ごとに1目盛り進むようになります。
続いて、分針を作成します。まずはフレームにピンを60個取り付けます。
次にレゴの「BMW M1000 RR」を2セット用意。
このセットには金色のチェーンが含まれています。時計の作成時点では金色のチェーンを入手するには「BMW M1000 RR」を買う必要があるとのこと。
2セット分のチェーンをつなげて……
分針の役割を担う赤い部品を取り付けます。
ピンの周囲にチェーンを装着。
これで分針が出来上がりました。
次に、分針を動かすために以下の部品を作成します。
この部品を下から押すことでチェーンが1目盛り分進みます。
つまり、秒針が60秒に1回12時の位置に到達するたびにチェーンが1目盛り進み、1分を刻めるというわけです。針が上下に移動するマングルラック機構ならではの仕掛け。
秒針&分針が完成したので、最後に時針を作成します。まずは赤色の部品をリングギヤに取り付けて……
リングギヤを短針の下側にセットします。
続いてリングギヤを支えるギヤを取り付け……
文字盤も取り付けます。
続いて、モーターの力を受け取って時針を動かすギヤトレーンを背面に取り付けます。
今回の時計では、時針を動かすために1:11のギヤが必要です。しかし、レゴには11の倍数の歯数のギヤが存在しないとのこと。
そこでデファレンシャルギヤを用いて1:11のギヤボックスを作成しました。
1:11のギヤボックスは黄色い枠の位置に組み込まれています。
後は、電源を入れれば時計が動き始めます。
しかし、電池で駆動させると短時間で電力を使い切ってしまうため……
クリップを取り付けて電源を外部供給できるようにしました。
電源スイッチは時計の底面に配置されています。
電源を入れると時計が動きだします。
Akiyuki氏が作成したマングルラック時計が実際に動く様子は、当該ムービーの8分27秒から確認できます。また、ムービーの最後には市販の時計と並べて精度チェックを行っているので、どれほどの性能に仕上がっているのか気になる人は再生してみてください。
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