セキュリティ

「ロシアがウクライナの衛星通信ネットワークにサイバー攻撃を仕掛けた」とアメリカ・イギリス・EUが公式に非難


ロシアのウクライナ侵攻が始まった2022年2月24日、インターネットサービスプロバイダーのViasatが運用する通信衛星「KA-SAT」がサイバー攻撃を受け、ウクライナだけでなくドイツなど周辺諸国も被害を受けました。このサイバー攻撃について、アメリカ・イギリス・EU・エストニア・カナダなどがロシアを非難する公式声明を発表しました。

Attribution of Russia’s Malicious Cyber Activity Against Ukraine - United States Department of State
https://www.state.gov/attribution-of-russias-malicious-cyber-activity-against-ukraine/


Russia behind cyber-attack with Europe-wide impact an hour before Ukraine invasion - GOV.UK
https://www.gov.uk/government/news/russia-behind-cyber-attack-with-europe-wide-impact-an-hour-before-ukraine-invasion

Russian cyber operations against Ukraine: Declaration by the High Representative on behalf of the European Union - Consilium
https://www.consilium.europa.eu/en/press/press-releases/2022/05/10/russian-cyber-operations-against-ukraine-declaration-by-the-high-representative-on-behalf-of-the-european-union/

Russia downed satellite internet in Ukraine -Western officials | Reuters
https://www.reuters.com/world/europe/russia-behind-cyberattack-against-satellite-internet-modems-ukraine-eu-2022-05-10/

Ukraine War: UK, US, and EU officially blame Russia for cyber attack targeting satellite company | Science & Tech News | Sky News
https://news.sky.com/story/ukraine-war-uk-us-and-eu-officially-blame-russia-for-cyber-attack-targeting-satellite-company-12609862

2月24日の通信衛星「KA-SAT」に対するサイバー攻撃は、ロシアがウクライナに侵攻するわずか1時間前に発生したとのこと。これにより、Viasat製のルーターを使用するウクライナの企業や個人はインターネットに接続できなくなったほか、ドイツではリモート監視・制御にViasatのルーターを使用していた5800基の風力タービンがオフラインになるなど、ウクライナ国外にも被害が及んだと報告されています。

ヨーロッパをカバーする衛星「KA-SAT」がロシアのウクライナ侵攻と同時に攻撃を受けていたことが判明 - GIGAZINE


ロイターによると、KA-SATはウクライナ軍や警察部隊にインターネット接続を提供しているとのことで、KA-SATに対するサイバー攻撃は軍の指揮系統を混乱させることが目的だったとみられています。影響を受けた数万台ものモデムに起きた障害は、電源を抜いて再接続すれば直るようなものではなかったため、新しいものに交換する必要があったとのこと。Viasatはサービス復旧のために卸売業者と協力し、すでに数万台もの交換用モデムを出荷していると述べています。

ウクライナ特別通信情報保護局は声明で、「ロシアはウクライナを陸上だけでなく、サイバー空間でも攻撃する侵略国家です」と述べ、ビクター・ゾラ副局長はKA-SATの機能停止を「戦争の初期における通信の非常に大きな損失」と位置付けています。

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そして、アメリカ・イギリス・EU・エストニア・カナダは5月10日に、このサイバー攻撃についてロシアを非難する公式声明を発表しました。アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は、「ロシアが侵攻中のウクライナの指揮系統を混乱させるため、2月下旬に商業衛星通信ネットワークにサイバー攻撃を行い、これが他の欧州諸国に波及したという見解について、EUや他のパートナーを支持しています」と述べ、KA-SAT以外にもウクライナのウェブサイト改ざんやDDoS攻撃などが続いていると非難しています。

イギリスのリズ・トラス外務大臣は、「これは、ウクライナおよび欧州全域の市民や企業に重大な影響を及ぼした、ロシアのウクライナに対する意図的で悪意ある攻撃の明確かつ衝撃的な証拠です。私たちは陸・海・サイバー空間におけるロシアの悪意ある行為といわれのない侵略を引き続き指摘し、ロシアが厳しい結果に直面するよう徹底していきます」とコメント。EUもロシアの攻撃を非難すると共にウクライナへの政治的・財政的・物質的支援を表明し、「ロシアはこの戦争を止め、無意味な人々の苦しみをただちに終わらせなくてはなりません」と述べました。

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in ネットサービス,   セキュリティ, Posted by log1h_ik

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