ウクライナ政府が一連のサイバー攻撃はロシア政府が黒幕だとして非難

ウクライナの政府機関を攻撃対象としたマルウェアの存在をMicrosoftが検知していたのですが、これらのマルウェアを使用した一連のサイバー攻撃の背後にはロシア政府が存在するとウクライナ政府が声明を出しています。

Ukraine says evidence points to Russia being behind cyber-attack | Ukraine | The Guardian
https://www.theguardian.com/world/2022/jan/16/ukraine-says-evidence-points-to-russia-being-behind-cyber-attack

Ukraine blames Russia for cyberattack against government websites – POLITICO
https://www.politico.eu/article/ukraine-blames-russia-for-cyberattack-against-government-websites/

Ukrainian police say cyber attack destroyed 'information resources' | National Post
https://nationalpost.com/pmn/news-pmn/crime-pmn/ukrainian-police-say-cyber-attack-destroyed-information-resources-2

Ukrainian Government Officially Accuses Russia of Recent Cyberattacks
https://thehackernews.com/2022/01/ukrainian-government-officially-accuses.html

2022年1月15日、Microsoft脅威インテリジェンスセンター(MSTIC)がウクライナ政府の関連機関を対象に破壊的な工作を行うマルウェアを検出し、報告しています。このマルウェアはPC内のファイルを暗号化して人質に取り、身代金を要求するランサムウェアのように動作するものの、実際には身代金を回収することを目的としていない、デバイスを破壊することのみを目的としたものであることが明らかになっています。

ウクライナ政府機関を狙う破壊的なマルウェアをMicrosoftが特定、ランサムウェアのような見た目で身代金回収メカニズムなし - GIGAZINE

これとは別に、ウクライナ政府機関のウェブサイトを改ざんするサイバー攻撃も行われています。この攻撃により、政府機関のウェブサイトを訪問したユーザーのPC画面に、「コンピューター上のすべてのデータが破壊され、復元することは不可能です」「あなたに関するすべての情報が公開されました。最悪の事態を予想してください」という警告文がウクライナ語・ロシア語・ポーランド語で表示される事態が起きていました。

ウクライナのセキュリティサービス(SBU)によると、1月14日(金)の早い時間帯に行われた攻撃の対象にされた政府のウェブサイトは合計70件にもおよぶ模様。

これらの一連のサイバー攻撃はロシア政府主導の攻撃であると、ウクライナ政府が公式に非難しています。ウクライナのデジタルトランスフォーメーション省は現地時間の2022年1月16日、「すべての証拠はロシア政府がサイバー攻撃の背後にいることを示しています」「モスクワはリアルとデジタルのハイブリッド戦争を続けています」という公式声明を出し、ロシア政府を非難しました。

ウクライナ政府機関のウェブサイト上には「個人情報が漏えいした」という警告文が表示されていましたが、デジタルトランスフォーメーション省は「個人情報は保護されている」と国民に発しています。同省は「ロシア政府の目的は社会を脅迫すること、そしてウクライナの状況を不安定にし、公共部門の活動を停止させ、当局に対する国民の信頼を破壊することです」と述べています。

ウクライナ政府の声明に応える形で、ウラジーミル・プーチン大統領の広報担当官であるドミトリー・ペスコフ氏は「我々は一連のサイバー攻撃とは何の関係もありません」「ウクライナ人は自国の悪天候でさえすべてロシアのせいにしている」と語っています。

ロシアはウクライナ国境付近で軍備を強化しており、2国間の緊張感はかつてないほどに高まっています。そのため、今回のサイバー攻撃がロシア軍による攻撃の前兆である可能性を指摘する声も上がっています。