セキュリティ

ロシアによるウクライナへのサイバー攻撃が控えめだというのは本当か?


ロシアがウクライナに侵攻している中で、ウクライナは物理的な攻防に加え、民間人をも起用して「IT軍」を結成するなどサイバー面での抵抗も行っていることが報じられています。反面、ロシア側がサイバー面での攻撃を行っていることはほとんど報じられず、専門家の間でも「ロシアのサイバー攻撃は最小限に抑えられているのでは」とする声も上がっているほど。しかし「この見方は間違いで、ロシアは目に見える以上の取り組みを行っている」として、海外メディアのForeign Affairsが実情を解説しています。

The Myth of the Missing Cyberwar | Foreign Affairs
https://www.foreignaffairs.com/articles/ukraine/2022-04-06/myth-missing-cyberwar

Foreign Affairsは「ロシアがサイバー面で何も行っていない、何の成果も挙げられていないなどという考えは間違いで、何もやっていないどころか、ロシアが侵攻直前から開始していたサイバー作戦の規模は前例のないほど大きなものでした」と述べます。


侵攻が開始されて以降、ロシアのサイバーユニットは民間通信インフラストラクチャーや軍事指揮統制センターなどの従来の攻撃目標に対し攻撃を仕掛けており、複数の政府、軍隊、重要なインフラストラクチャーといったシステムを動作不能にしています。MicrosoftやESETなどの分析によれば、これらの攻撃は多数の政府機関や民間緊急サービス、防衛産業、情報サービス、エネルギー企業といった組織に影響を与えていたとのこと。

また、ウクライナ軍や諜報(ちょうほう)機関が大きく依存している通信衛星「KA-SAT」も、ロシアのウクライナ侵攻と同時に「何者か」により攻撃を受けたことも明らかになっています。ウクライナ特別通信情報保護局のビクター・ゾラ副局長は衛星の機能停止を「戦争の初期における通信の非常に大きな損失」と位置付けています。

ヨーロッパをカバーする衛星「KA-SAT」がロシアのウクライナ侵攻と同時に攻撃を受けていたことが判明 - GIGAZINE


Foreign Affairsは「このような一連のサイバー攻撃は、ロシアの軍事作戦を積極的かつ持続的にサポートしています。ロシアのサイバー攻撃が不能とみなされるような誤解は、1つ1つの攻撃が戦争以前に想定されたような圧倒的な規模のものではなかったために生まれたものであり、実際はじわじわと行われているのです」と記しました。

その上でForeign Affairsは「ロシア側は迅速に勝利することを期待していたようですが、ウクライナ軍の強さと回復力により戦略的に失敗しています。しかし、これらの抵抗を受けてなおロシア軍はさまざまな標的への攻撃に成功しています。『ロシアのサイバー作戦は効果がなかった』とする意見は全体を見据えられておらず、アナリストは適切に分析する必要があります。また、西側の政策立案者は『サイバー攻撃がウクライナの外に波及する可能性』を考えるべきです」と意見しました。

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in セキュリティ, Posted by log1p_kr

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