ウクライナの「IT軍」結成後にロシア政府機関など多くのサイトがダウン

ウクライナのミハイロ・フェドロフ副首相がIT軍の作成を公言した前後からロシアの政府機関や企業のウェブサイトがダウンし、一部は記事作成時点でもアクセスできない状況であることが伝えられています。

After Ukraine recruits an “IT Army,” dozens of Russian sites go dark | Ars Technica
https://arstechnica.com/information-technology/2022/02/after-ukraine-recruits-an-it-army-dozens-of-russian-sites-go-dark/

フェドロフ氏は2022年2月27日、Twitterで「IT軍を結成している」と公言。メッセージングサービスのTelegramに専用のチャンネルを開設し、「タスク」と称した攻撃先のリストを作成して、一般人の参加を募っていました。

タスクリストにはロシア最大の商業銀行であるロシア貯蓄銀行や、ロシアの検索エンジンであるYandexといった民間企業に加え、ロシア国防省や公共サービスといった政府機関のウェブサイトも並んでいます。このうちいくつかはサイバー攻撃の結果ダウンし、国内外からのアクセスが一時的にできなくなったか、あるいはアクセスできない状況が続いているとのこと。

これを受け、ロシアは電子政府ポータルサイトへの国外からのアクセスを完全にブロックすることで対応していると伝えられています。ネットワークの観測を行う企業Kentikのダグ・マドリー代表は、2月28日の朝に「ロシア最大のインターネットプロバイダーであるRostelecomがBGPによるアクセスを停止した」と伝え、ロシア国外のIPアドレスでロシア政府のウェブサイトにアクセスできない状況であると伝えました。

マドリー氏は「これらのサイトはおそらくほとんど国内のみで使用されているので、部外者がアクセスできないということは大したことではないでしょう。しかし、このことはロシアが政府のウェブサイトへの攻撃に対して防御策を講じていることを意味します」と述べました。

ロシアのウェブサイトを攻撃するウクライナの行動に多くの注目が集まっていますが、ウクライナもまた攻撃を受けている立場にあります。2月25日にはセキュリティ企業のESETが「ウクライナの数百台のマシンにこれまで見たことがないワイパー型マルウェアが感染している」と報告。同じくセキュリティ企業のノートンライフロックも、ウクライナの防衛・航空・ITサービスなどを標的としたマルウェアを発見したと報告しました。