サイエンス

オウムアムアより先に「史上初の恒星間天体」が観測されていた可能性が政府の極秘データから判明、しかも地球に飛来していた


パプアニューギニア上空で2014年に観測された爆発が、太陽系外から飛来した恒星間物体によるものだったことが確認されました。アメリカ国防総省の極秘データに抵触することから、これまで埋もれたままになっていたこの発見により、2017年に発見され「天体観測史上初となる太陽系外から飛来した恒星間天体」とされているオウムアムアの記録が塗り替えられる可能性があります。

[1904.07224] Discovery of a Meteor of Interstellar Origin
https://arxiv.org/abs/1904.07224

Secret Government Info Confirms First Known Interstellar Object on Earth, Scientists Say
https://www.vice.com/en/article/dyp9ez/secret-government-info-confirms-first-known-interstellar-object-on-earth-scientists-say

An interstellar object crashed into Earth in 2014, US government data reveal | Live Science
https://www.livescience.com/first-interstellar-object-detected

アメリカ宇宙コマンドの公式Twitterアカウントは2022年4月7日に、「2014年に観測された天文現象が恒星間天体に関連するものだった」との論文を認めるという内容の文書を公開しました。

6/ “I had the pleasure of signing a memo with @ussfspoc’s Chief Scientist, Dr. Mozer, to confirm that a previously-detected interstellar object was indeed an interstellar object, a confirmation that assisted the broader astronomical community.” pic.twitter.com/PGlIOnCSrW

— U.S. Space Command (@US_SpaceCom)


公開された文書には、「以前執筆された、2014年1月8日の流星に関する論文は、この流星が99.999%の信頼度で星間空間に由来するものであると報告するものでした。この事象は、オウムアムアの発見より約3年前に見つかったものです。アメリカ宇宙コマンドの主任科学者であるジョエル・モーザー博士が、国防総省が入手した関連データを加味して検証した結果、論文に記載されている天体の速度の推定値は、天体を恒星間天体とする上で十分な精度だったことが確認されました」という内容が書かれています。


文書で言及された論文は、査読前の論文を掲載するプレプリントサーバーのarXivで公開されている「恒星間物質由来の流星の発見」という論文です。論文の筆頭著者であるハーバード大学天文学科のAmir Siraj氏によると、この論文は何年間も査読と出版を待つばかりの状態でしたが、発見の新規性やアメリカ政府が機密扱いにしているデータとの兼ね合いから、正式に公開されないままになっていたとのこと。

しかし、今回アメリカ宇宙コマンドによって論文の内容は確かだと認められたことで、2017年に発表されたオウムアムアや、2019年に発見されたボリソフ彗星より先に、恒星間天体が観測されていた可能性が高いことが確かめられました。


Siraj氏らが今回の発見に成功したのは、皮肉にもオウムアムアが発見され大きな話題になったのがきっかけです。「オウムアムアは地球外生命体の手によるものだ」と提唱していることでも有名なハーバード大学天文学科のAbraham Loeb氏は、Siraj氏に「NASAの地球近傍天体研究センターが公開しているデータベースから、他の恒星間天体が地球に飛来してきている可能性を検証してみよう」と提案しました。

そして、2014年1月8日にパプアニューギニア上空で観測された爆発に目を留めたSiraj氏が、この現象を詳しく分析したところ、爆発は直径がわずか45cmほどの天体が時速21万キロという猛烈な速度で地球に飛来したことによるものだと判明。太陽系内を飛び回る普通の天体の平均速度を大きく上回ることや、天体が飛来した方向などから、Siraj氏らは「天体の起源は、(太陽系以外の)惑星系の深部か天の川銀河の円盤が厚くなっている領域の星である可能性がある」と結論づけました。

しかし、爆発を観測したセンサーには、国防総省が運用する核爆発の監視技術と同じ技術が使われていたため、Siraj氏らは自分で計算の精度を確認することができず、論文は裏付けがないまま宙に浮いた状態になってしまったとのこと。その後、論文がロスアラモス国立研究所やNASAをはじめとするさまざまな政府機関の手に渡り、最終的にアメリカ宇宙コマンドの主任科学者によって確認されたことで、ようやくSiraj氏らの発見が日の目を見ることになりました。

Siraj氏は、「地球に飛来した恒星間天体が存在し、しかもその破片がどこにあるのかが分かっているという事実を考えるだけでも胸が躍ります。私は既に、パプアニューギニア沖の海底を捜索して、恒星間天体の破片を見つけることが可能なのかの検討を始めました」と話しました。

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in サイエンス, Posted by log1l_ks

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