サイエンス

ヨガのおかげで「考えるだけでオーガズムを得られるようになった女性」の事例が医学誌に掲載される


日本語で性的絶頂と訳されることもあるオーガズムは、一般的には性器などの性感帯に触れることで得られるものとされていますが、就寝中でもオーガズムに達する女性がいることも分かっています。今回新たに、ヨガのトレーニングを実践することで、性器などに触れることなく通常のオーガズムと同等の快感を得られるようになった33歳の女性の事例が、国際性機能学会の学会誌・Sexual Medicineで紹介されました。

A Case of Female Orgasm Without Genital Stimulation - Sexual Medicine
https://www.smoa.jsexmed.org/article/S2050-1161(22)00009-5

Case Study Shows It's Possible to Orgasm Using Only Your Mind
https://www.sciencealert.com/case-study-shows-it-s-possible-to-orgasm-through-mental-thoughts-only

Estonian yoga teacher, 33, says she can ORGASM stimulation-free | Daily Mail Online
https://www.dailymail.co.uk/health/article-10684459/Estonian-yoga-teacher-33-says-ORGASM-stimulation-free.html

2022年4月に刊行されたSexual Medicine第10巻2号に、「A Case of Female Orgasm Without Genital Stimulation(性器刺激のない女性のオーガズムの症例)」が報告されました。この論文の研究に参加したエストニアのヨガ講師だというKarolin Tsarski氏は、膣痙(ちつけい)や挿入時の痛みが原因で膣でのオーガズムが得られにくいことから、タントラというヨガのトレーニングを10年間行い、これによって性器刺激なしでオーガズムに達したり、その持続時間をコントロールしたりする能力を身につけたとのこと。


実践したトレーニングについて、Tsarski氏は「エネルギーを目覚めさせ、感じ、それを導き、高みへと上らせることを目的としたポーズ、呼吸法、体のロックを勉強しました。また、骨盤底筋のエクササイズや乳房のマッサージの練習、羞恥心や罪悪感をなくすためのトレーニングもしました」と説明しています。

論文の筆頭著者であるチェコ・カレル大学のJames Pfaus氏は、Tsarski氏が主張するオーガズムが本物なのかを確認するため、実際に性器の刺激を伴わないオーガズム(NGSO)を経験したTsarski氏の血液を採取し、血中ホルモンを分析する実験を行いました。実験は、「5分間のNGSO」と「10分間のNGSO」の2回に分けて実施され、それぞれオーガズム直後とオーガズムの前後30分の3回血液サンプルが採取されました。また、対照実験として「10分間の読書」でも同様の検査を行いました。


実験の模様は、同氏がYouTubeで公開している以下のムービーの再生開始から1分40秒が経過したあたりで見ることができます。

Energetic whole body orgasms are they real - YouTube


血液の採取を受けているこの女性が、ヨガのトレーニングにより性感帯への刺激なしでオーガズムに達することができるようになったというTsarski氏です。


スマートフォンのタイマーアプリをスタートさせて計測開始。


Tsarski氏は、診察台に横たわった直後にけいれんを始めました。


検査により採取されたTsarski氏の血液サンプルを分析したところ、オーガズムにより血中濃度が急上昇するホルモンであるプロラクチンが、「5分間のNGSO」では25%、「10分間のNGSO」では48%増加したことが確かめられました。記録されたプロラクチンのレベルは、一般的な女性の性器の刺激を伴うオーガズム(GSO)と同等だったとのこと。一方、読書ではプロラクチンのレベルは全く変化しませんでした。

この結果から、Pfaus氏らは「主観的には、NGSOは陰核への刺激を行うGSOなどと同等の快感であり、GSOと比較的類似した一連の感覚をもたらすものでした」と結論づけました。

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in サイエンス,   動画, Posted by log1l_ks

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