グラフィックボードの価格が下がり続けて正常値に近づきつつある
仮想通貨のマイニング需要などの影響でメーカーの希望小売価格よりも高騰し続けていたグラフィックボードの価格は、2022年1月頃には下落に転じたと報道されたほか、3月末にはPCパーツメーカーのASUSが最大25%値下げを発表するなど、価格の低下が見られていました。そんなグラフィックボードの販売価格がピーク時よりも一貫して下がり続け、正常な価格に近づいていると複数のIT系メディアが報告しています。
Things aren’t “back to normal” yet, but GPU prices are steadily falling | Ars Technica
https://arstechnica.com/gadgets/2022/04/things-arent-back-to-normal-yet-but-gpu-prices-are-steadily-falling/
GPU Prices: Tracking Graphics Cards Sold on eBay | Tom's Hardware
https://www.tomshardware.com/news/gpu-pricing-index/
GPUs, they’re everywhere • GraphicSpeak
https://gfxspeak.com/2022/04/06/gpus-theyre-everywhere/
GPUは本来PCの画像処理に特化したプロセッサですが、近年は「2021年1月~3月に販売されたGPUの25%がマイニング用途で購入された」と予測されているほど、仮想通貨のマイニング需要の増加によって価格が高騰しています。一方で2021年6月に中国で仮想通貨の取引およびマイニング規制を行ったことで、ビットコインの価格の暴落に伴いグラフィックボードの価格も急落したと報じられました。同様の価格推移は2018年にも起きており、そこでも仮想通貨相場の下落からグラフィックボードの価格が正常値に戻っています。
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アナリストのジョン・ペディ氏がまとめたデータによると、ピーク時には希望小売価格(MSRP)の2倍・3倍近い価格をしていたモデルも、2022年3月時点ではいまだ希望小売価格より取引価格が上がっているものの、ピーク時(Top Price)に比べると30%近く価格が低下しています。加えて、2022年初頭に発売された「RTX3050」や「RX6500XT」は、他のモデルと比べて当初から大きく高騰していないことがわかります。
by GraphicSpeak
また、大手オークションサイトのeBayにおける各グラフィックボードの販売数と取引価格を毎月まとめているアメリカのIT系ニュースサイトのTom's Hardwareによると、全てのグラフィックボードの価格は月ごとに下がり続けており、ほとんどが10%以上取引価格を下げているとのこと。2022年2月から2022年3月で、最新世代のグラフィックボードの価格は平均12.1%低下しています。
ペディ氏は、ノートPCに搭載されるグラフィックボードよりもゲーミングPCやマイニングに用いられるハイスペックなモデルは2倍~3倍近い小売価格になっていることを指摘し、「これは供給不足を排除するためにメーカーが値上げを行ったためです」と解説しています。Ars Technicaのアンドリュー・カニンガム氏はこれを受けて、主要なGPUメーカーであるIntel・Nvidia・AMDが3者とも2022年内に新しいグラフィックボードの発売を計画していると予想されている中で、「新しいグラフィックボードの希望小売価格がこれまでの市場に合わせて大きく上がるのか、それとも徐々に衰退して下がった形になるのか、当面は予測不可能です。現世代のモデルがどの程度の価格で定着し、また仮想通貨市場が衰退した中で消費者が新しいグラフィックボードを求めるのか、ということが市場を左右すると注目できます」と述べています。
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