セキュリティ

ロシアがウクライナでのモバイル通信を確立するためにハッカーを雇っていたことが明らかに


ウクライナの国家保安機関が、ロシア軍がウクライナ国内でモバイルネットワークを確立するための手助けを行ってきたというハッカーを逮捕したと発表しました。

Ukraine Arrests ‘Hacker’ It Says Was Routing Calls for Russian Troops
https://www.vice.com/en/article/v7djda/ukraine-arrests-hacker-routing-calls-for-russian-troops

A phone relay capture may be the latest of Russia’s communications woes in Ukraine - The Verge
https://www.theverge.com/2022/3/15/22979381/phone-relay-capture-russia-military-unencrypted-communications-ukraine

ウクライナはロシアによる侵攻に対抗するため、国内の通信会社に対してロシアおよびベラルーシの携帯電話番号をブロックするよう命じています。その結果、戦場に派遣されているロシア兵がウクライナ人から携帯電話を押収したり、携帯ショップを襲撃したりして、SIMカードを集めている様子が確認されているとのこと。また、サイバーセキュリティ会社・Adaptive MobileでCTOを務めるCathal McDaid氏は、ウクライナ側が講じているセキュリティ対策について「ロシア軍はウクライナ国内で効果的な通信を行うことが困難になっている」と語っています。

そんな中、ウクライナ保安庁(SSU)が、侵攻中のロシア軍に対して電話やメッセージ送信など技術支援を提供していたハッカーを拘束したと発表しました。このハッカーはウクライナの携帯電話ネットワークを利用し、ロシア軍の通信をサポートしたと推測されています。

SSUの公式FacebookおよびTelegramに投稿された発表には、「SSUはウクライナで占領者にモバイル通信を提供したハッカーを拘束しました」と記されています。SSUによると、ロシア側はハッカーの助けを借りて「匿名通信での電話発信」「ウクライナの治安部隊と公務員に対して降伏を勧告するSMSの送信」「ロシア移民グループへの指示」などが可能となり、1日に何千件もの電話を発信できるようになったとのこと。


SSUが公開した画像には、音声通信やテキストメッセージの中継に使用されるSIMボックスと呼ばれるノートPCサイズの端末(画像中央)が含まれています。ウクライナ国内ではロシアで使用されている携帯電話番号が機能しないため、ハッカーはSIMボックスのような端末を使い、他の国で調達した複数の異なるSIMカード経由でウクライナ国内での通信を確立するわけです。McDaid氏は「SIMボックスを使用することで、IP経由で電話を受け、モバイルネットワーク経由でロシアの司令官(おそらくウクライナあるいは海外のSIMカードを搭載した携帯電話を持っている)に送信します。これによりロシア軍は電話を受けることが可能となります」と述べました。


McDaid氏は軍隊がSIMボックスを使用することの危険性を指摘しており、「ロシア軍側がSIMボックスのようなものを使用しなければいけない状況に陥っているという事実は、ウクライナ側の対策がロシアをますます安全性の低いシステムに追いやっていることを示しています」と述べました。なお、ウクライナの諜報機関は「安全性の低いシステムを使用しているため、ロシアの当局間で行われている電話を傍受することができました」と言及しています。

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in モバイル,   セキュリティ, Posted by logu_ii

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