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中国からロシアへのスマホ輸出が一気に半減、ロシアの通貨ルーブルの価格が暴落して紙切れ同然になったため


中国の大手スマートフォンメーカーが中国政府からロシアへの製品出荷を命じられているにもかかわらず、ルーブルの価格暴落を受け、スマートフォンの出荷台数はむしろ半減していると報じられています。

Chinese smartphone shipments to Russia plunge as rouble collapses | Financial Times
https://www.ft.com/content/8f3e0214-94b1-4d73-b34f-31c189437578

Russia is turning to China to survive sanctions amid invasion of Ukraine, but it won’t be easy - The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/world/2022/03/11/china-russia-sanctions-ukraine-war/

中国の習近平国家主席とウラジミール・プーチン大統領は緊密な関係を築こうと努力しており、その影響の一環として、中国大手のスマートフォンメーカーであるHuaweiとXiaomiは中国政府からロシアへスマートフォンを出荷するよう命じられています。それにもかかわらず、ルーブルの暴落と西側諸国による経済制裁の影響で、実際にロシアに出荷されるHuaweiとXiaomiのスマートフォンは減少しています。


経済紙のFinancial Timesが独自に入手した情報によると、ロシアのウクライナ侵攻が始まってから、Huawei・Xiaomi・Oppoといったスマートフォンメーカーのロシアへの製品出荷台数は少なくとも半分にまで落ち込んでいるそうです。なお、中国メーカーはロシアのスマートフォン市場の約60%を占めています。

この報道に対して、Xiaomiは「AppleやSamsungのようにロシア市場での販売停止を公然と発表することは政治的に難しいことです」「ビジネスの観点から見れば、次に何が起こるかを傍観することが理にかなっています」とFinancial Timesに語りました。


スマートフォンからエアコンまであらゆるものを製造する中国の電子機器メーカーは、近年、ロシアでの工場開設に大規模な投資を行っています。実際に、ロシアと中国の間の二国間貿易は、2021年に過去最高の1460億ドル(約17兆円)を記録しており、ロシアの輸入品の約14%は中国からのものであり、そのほとんどが電子製品であることも明らかになっています。また、ロシアがウクライナへの侵攻を始めてから、すでにAppleMicrosoftなどの西側企業がロシアでの製品販売を停止したことから、ロシアに対する中国製電子機器の流れは加速するという見通しが存在しました。

以下のグラフは2021年第4四半期(10~12月)におけるロシアでのスマートフォン販売台数シェアをまとめたグラフ。Xiaomiはロシアで最大のシェアを占めており、5番手にも中国企業のHonorが位置しています。


ウクライナ侵攻以降、ルーブルの価格はアメリカドルに対して35%以上急落したため、中国企業は損失を出さずにロシアで製品を販売することが難しくなっています。中国企業がロシアで損失を出さずに製品を販売するには為替レートを考慮してロシアでの製品販売価格を高騰させる必要があります。しかし、ロシアで起きている経済状況の悪化を考えればそれが困難であることは明らかです。

香港のコンサルタント会社であるCounterpoint Researchのアナリストであるイヴァン・ラム氏は、「損失を出さないようにするには毎日新しい価格を設定する必要があります」と語りました。また、ラム氏によるとロシアのスマートフォン販売業者の多くが為替リスクを理由に中国メーカーへの新規発注を停止していると付け加えています。また、モスクワでの勤務経歴があるHuaweiの元幹部は、「今ロシアで事業を続けるのは非常にリスクが高いと考えられます」と述べました。

中国政府はアメリカとその同盟国がロシアに課している経済制限の多くを違法と考えているにもかかわらず、この経済制裁に巻き込まれることの潜在的なリスクに対して「非常に真剣に考えている」とコンサルタント会社・Control Risksの中国分析責任者であるアンドリュー・ギルホルム氏は語っています。

また、Xiaomiの元幹部はアメリカが主導するロシアへの経済制裁の影響は、最終的にはアメリカによるイランへの制裁と同じくらい深刻になる可能性があると予想しているそうです。この元幹部は「小さな部品も含め、多くのアメリカ製品がロシアへの出荷を禁止される可能性があり、このルールを違反することになれば、第二の孟晩舟事件につながる可能性もあります」と述べました。


一方で、中国の自動車メーカーである長城汽車吉利汽車はロシアでの事業を停止するつもりはないと公言しています。これは一部の中国企業が厳しい経営状況にもかかわらず、ロシア市場で長期的な野心を持ち続けていることを示すものです。

一方で、コンサルティング企業・Sino Auto InsightsのマネージングディレクターであるTu Le氏は、「海外ブランドはロシア市場を去りますが、ロシアの消費者はおそらく中国製品を購入できる状態にはありません」と指摘し、ロシア国民に中国製品を購入する余裕はないとしています。

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in モバイル, Posted by logu_ii

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