Googleの検索結果に表示される広告はどれくらいの効果があるのか?
Googleで何かの文言で検索した時、検索結果の最上部に「広告」と示されたリスティング広告が表示されることがあります。「検索する時はたいてい目的が決まっているのに広告で誘導する意味はあるのか?」「リスティング広告はどれくらい価値があるのかはどうやって分析できるのか?」という点について、エコノミストのスコット・カニンガム氏が報告しています。
How can we know if paid search advertising works?
https://causalinf.substack.com/p/how-can-we-know-if-paid-search-advertising
2012年にGoogleが計上した売上は約460億ドル(約5兆円)で、その95%は広告によるものとなっています。そんな検索広告の効果について、カニンガム氏はeBayというアメリカの大手オークション・オンラインショップを例に挙げて説明しています。
例えばGoogle検索で「Amazon」と検索した場合、スポンサー付きの検索広告と、広告のない自然な検索結果の2種類が表示されます。2012年時点では「eBay」も同様で、「eBay ミトン」と入力すると、スポンサー付きと広告なしの2種類の検索結果が、同じページに対して表示されるようになっていました。一番上に表示される広告枠を表示させるためにオークションを行うのですが、そもそもこの場合「eBayでミトンを買う」という目的で検索しているため、広告を見なくてもオンラインショップにたどり着くのが自然に感じられます。
2015年に、eBayの研究チームは「ブランドキーワードの検索広告の実施が収益に与える影響」を調査しました。その結果、検索広告を停止すると、当然広告枠からのクリック数はゼロになりますが、一方で広告ではない検索結果「オーガニック検索」からのクリック数が増加し、サイトへのアクセス数が広告停止前と変化しないことが判明。検索広告がアクセス数の増加に寄与しない可能性が示されました。
研究チームはeBayの上層部に上記の研究結果を伝えた上で、全市場の30%で大規模な地域別フィールド実験を実施しました。そして、追加で行った実験でも、eBayにおいて検索広告の効果がまったくないことが示されました。
ただし、これはあくまでeBayのプラットフォームでeBayの顧客を想定して行われた実験であり、広告効果の有無は企業が広告にどのようなリターンを求めているかに左右されると論文では補足しています。また、2019年にFacebookの広告を対象に行われた調査では、広告の効果は広告の表示位置も大きく影響していることが示されました。
カニンガム氏は上述の検索広告に関する調査を踏まえて、「特定の条件があればこのような結果になるだろう」というバイアスを排除した上でデータを純粋に比較することが「広告費は無駄なのか?それとも機能するのか?」という疑問に回答できると主張し、広告業界における分析研究の重要性を説いています。
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