インタビュー

独学で映画『JUNK HEAD』を作り上げた堀貴秀監督にインタビュー、絵画・人形・アクセサリー・内装などマルチにこなすクリエイターのたどってきた道のりとは?


7年かけてほぼ1人で1コマ1コマ撮影を続けて執念のストップモーション映画『JUNK HEAD』を作り上げたのが、クリエイターの堀貴秀さん。独特の造形物とキャラクターたちが、終末感漂う世界を舞台に、冒険となんともいえない日常を繰り広げる作品は世界でも評価されていますが、堀監督は映画制作を学ぶことなく、この作品を作り上げました。いったい、この強烈な作品を作ったのはどんな人物なのか、話をうかがう機会を得たので、過去の作品のことなども含めて、いろいろな質問をしてみました。

映画『JUNK HEAD』 公式サイト
https://gaga.ne.jp/junkhead/

『JUNK HEAD』は2021年3月に劇場公開されて、高い評価を受けました。どんなすさまじい作品なのかは、YouTubeで公開されている冒頭10分の映像からもうかがい知ることが可能です。

【公式】期間限定「JUNKHEAD」本編映像 冒頭10分超 解禁! - YouTube


GIGAZINE(以下、G):
本日はよろしくお願いします。堀監督はTwitterで積極的に情報発信されているのですが、その中で過去の自分の作品をツイートしていたのが目にとまりました。高校生の時に書いた「人と人」という油絵だとのことで「美術展で受賞もしたけど病んでますね」と自分自身でコメントしていますが、高校生の時にこういった作品を描こうと思った動機はなんだったのですか?


堀貴秀監督(以下、堀):
なんだろう、人間についてなんか暗く考えてしまったのかな(笑) 絵には自分の指を切った血を混ぜて描いたりしていたので実際病んでいたのかも(笑) そのころ、バブル景気とかの時代があって、世間的にはノリや調子のいい時期でもあったんですけれど、一方世界では餓死している人もいて、明暗がはっきりしているという時代で、簡単に大金を稼いでいる人がいたり。自分が高校へ通う道ばたでは土木作業で汗だくで働いている人の横を、親から学費を払ってもらってお気楽に学校へ行っていたわけですが、何か恥ずかしいというか申し訳ないというような気がしていました。「人類皆平等」という言葉はあるけれど違うじゃないか、というのを考え出したころの作品ですね。

G:
報知映画賞のお祝い電報が出身高校から届いたことに触れて「学生の頃は結構嫌われてたと思うけど、こんなの贈ってもらえるようになるとは」とツイートしていましたが、なにか自分自身でそのように思い当たることがあるのですか?


堀:
これはまさに先ほどの悩みながら絵を描いていた高校生時代で、学校にアトリエがあって、そこで熱中して絵を描いていたんですが、おしゃべりしてうるさい人達に、スリッパを投げつけて「出て行け!」とかやっちゃって。そのうち、僕がアトリエに入ると部屋がスンッて静かになっちゃうようになったんです。で、教師も一緒におしゃべりでうるさくしていた時には思いっきり言っちゃたりしたので、多分皆から嫌われていたと思います(笑)

G:
うーん、堀監督だけが悪いわけではないような(笑)

堀:
高校卒業にあたっては進路指導とかあると思うんですけれど、そういうのは全然なくて。実家も余裕がなかったので美大とかも諦めて、アルバイトしながら独学で創作活動を続けていたのですが、奨学金制度とかを知ったのは、しばらく経ってからでした。

アニプレックス・鳥羽洋典プロデューサー(以下、鳥羽):
それ、高校に人生を変えられちゃってるじゃないですか!

堀:
いやあ、結果としてそれがよかったのかもしれないですけれど(笑)

G:
高校時代、堀監督は「自分が天才だと思い込んでいた」とのことですが、そこからどのようにしてその「思い込み」状態を脱したのですか?


堀:
僕が通っていたのは大分県の美術専門みたいな、音楽科と美術科しかない珍しい高校だったんですが、その中で一番うまいだろうと思っていたんです。それで当時、東京藝大の学生は神様的な感じがあって、現役合格の確率は「ほぼ奇跡」というぐらい低いらしいんですけれど、でも「俺は現役合格して蹴ってやろう」と思って。合格通知が来る前にもう貸しアトリエを借りていたんですけど、そこで落ちちゃって……。

(一同笑)

G:
そういうことだったんですね。東京に出てきてから、美大に行かずに働きながら絵を描いていたということはツイートもされていて、「ひまわり」をテーマにたくさん絵を描いたとのことですが、何枚ぐらい描いたのですか?


堀:
枚数としてはせいぜい何十枚とかだったと思います。油絵なので、けっこう時間はかかっています。生けたきれいな花とかは「どうせすぐ枯れちゃうじゃん」とあまり興味がなくて、生命力を感じたひまわりを題材にしていました。今はもうなくなってしまったんですが、当時、とても安く使わせてもらえるアトリエがあって、昼まで交通整理のバイトをして、そのあとこのアトリエに通ってラフデッサンや絵を描くという生活をしていました。アパートの四畳半の部屋でもひたすら絵を描いていたので、押し入れに布団を敷いて寝ていましたね。

G:
19歳の時にはアメリカを旅したという話が出ています。アメリカに行こうと思い立ったきっかけはなんだったのですか?


堀:
やっぱり美術、芸術といえば画廊が集まるニューヨークのソーホーだろうと。それで、まずロスに行って、バスでずーっとアメリカを一周したような感じです。まったく言葉はわからなかったけれど、なんとか(笑)

G:
まったくですか?

堀:
英語はびっくりするぐらいわからなくて、お金もないから路上で膝を抱えて寝ていました。服も1着2着ぐらいしか持っていないから、着ているうちに穴があいてきて、「これでパンを買え」ってチャリーンってお金を投げてくれたり、「これを着ろ」ってシャツをくれる人がいたりしました。

G:
すごい(笑) この時は路上で絵を描いて売ったりしていたと。

堀:
画用紙と絵具を買って、路上に座り込んで絵を描いて売っていました。せいぜい5ドルとか10ドルとかなんですけれど、結構、ばばばっとまとめて買ってくれたり、1回立ち去ってから戻ってきてまた買ってくれたりして、ほとんどが売れるという状態でした。モノクロ系でアジアンチックなところが受けたのかもしれません。そのころから抽象画を描いていたので、文化を超えた部分のセンスの合う人に伝わっていたのかもしれません。

G:
20代になると、池袋の喫茶店でバイトをしていたとのこと。このころ「絵のパトロンになるからチャカ預かってくれ」と言われたということもツイートされていましたが……。


鳥羽:
面白すぎる(笑)

堀:
24時間営業の普通の喫茶店だったんですけれど、片隅に麻雀ゲームが置かれていて、それが賭博ゲームだったんです。それを管理するのはアルバイトで、昼間はいないんですけれど、夜になるとヤクザの人たちが入り浸っているという……。

G:
おお……。

堀:
電源が切れていたとあり得ない文句を言われたとき、「切れちゃったんですか?」と答えたら「なんだその言い方は」と怒られてローキックされたこともあります。チンピラレベルの人はコーヒー代も払えなくて、カウンターの下をすり抜けて逃げていくこともあったんですが、偉い人はきっぷがよくて「パトロンになってやるよ」と言ってくれたりもしましたが、その人はその後刑務所に入ったらしいです。

G:
それで、ソーホーのほかにはインドにも行ったと。今度は、なぜインドに?


堀:
バブルが終わってからだったと思いますが、宗教や精神世界が盛り上がる時期があって、「やっぱり、インドかな」という雰囲気があって。それで行ってみたら、現地で背後から野良犬にかみつかれてしまって。インドは狂犬病がすごく多い国なんですけど、まるでマンガみたいにお尻のところがぺろーんって破れちゃって、周りのインド人もびっくりするっていう……。

(一同笑)

堀:
地元の人にはかみつかないけど、よそ者だとわかるとかみついてくるんですよね。このときにはさすがに「ああ、死ぬかも……」って思いました。あと、インドには「暴力反対」のイメージがありますけど、貧しい国でもあるから、観光客にたかってくるんです。鉄道の旅をしていて、寝台列車で自分以外はインド人でぎっしり、1つのベッドに5~6人が座っているという状態だったんです。それで言葉は分からないながら「俺、もう寝る」と準備をしていたら「寝る準備をするのに荷物が邪魔だろう、預かっててやるよ」的な態度なので荷物を預けて、準備を終えて荷物をもらおうとしたら「荷物?知らねえ」的な。これには困って、果物ナイフを見せて暴れるようなフリをしたら何十人もいたインド人たちが散り散りに逃げて、さっきまでインド人たちが塊になっていたところに僕の荷物がぽつんと残っている、とかもありました。モメて頭を殴られたりもしましたが、若かったですね。

G:
これもまた激しい体験をしていますね……。この20歳前後のころに作った作品として、銅板を半球状に叩いたという作品の写真があります。どれぐらいの大きさの作品なのですか?


堀:
1m×2mぐらいあったかなと思います。

G:
『JUNK HEAD』を見てからこの作品の存在を知ったのですが、何かつながりがあるような印象を受けます。当時はどういったイメージでこの作品を作ったのですか?

堀:
これは銅板をコツコツと後ろから叩いて膨らませて作った作品ですが、ちょうどこのころ、原子とか量子とか科学的な知識を入れていたときで、「物質の最小単位は球体なんだろう」なんて考えながら叩いていたんじゃないかと思います。

G:
これも堀監督が過去に作った作品で、3つ顔のオリジナルエイリアンというのがあります。映画『エイリアン』が好きだということは公言されていますが、どういった点が好きなのですか?


堀:
それはやっぱり、H・R・ギーガーのデザインです。まるで伝染病のように思えて、いまだに影響を受けた人間がいるというのも納得ですよね。それに加えて、当時の演出です。なかなか怖いものは直接出てこず、じわじわと怖がらせる。それがすごくうまくいっているなと思いました。

G:
賞金狙いで美術展に応募していた時期もあるということですが……


堀:
そうですね、美術展の公募展で出る賞金を狙って出品して、作品が買い取られるというものもありました。

G:
賞金狙いで応募して半数が実際に賞を取るというのは、さらっとツイートされていますがとんでもないことなのではありませんか?

堀:
ちゃんと、審査員の好みとかも下調べした上で、いけそうだなというところを狙って取りに行っています。そういうことをしていたから芸術家として芽が出なかったのかもしれません(笑)

G:
それで、犬やクジラなどのモチーフを組み合わせて描いて、「見た人が勝手になんか意味有り気に感じる事を期待してた」と。


堀:
そうです。なんか……テーマ性がありそうじゃないですか。

(一同笑)

堀:
水のないところにクジラがいたり、どこかに移動できる飛行船があったり。僕としては、大して深くは考えていないんです。

G:
いやいや(笑)、これが作れるというのがすごいです。そして絵画制作から人形作りに移っていったわけですが、なぜ人形作りをやってみようと思い至ったのですか?


堀:
結局、頭で考えながら描いていて、「俺、絵は向いていないな」と思って。美術展に出した絵の中に人形のキャラクターを描いたことがあるんですが、「それを人形にしてみよう」と思って実際に作ってみたら、それも賞を取れたんです。そのときに立体物を作る面白さを知りました。

G:
なるほど。

堀:
最初は球体関節の人形ではなかったんですが、天野可淡という人形作家がいいなと思って影響を受けました。人形をある店に持ち込んだときに「これ、操り人形にしてみたらどう?」と言われてから、操り人形も作るようになりました。操り人形って、粗い木彫りの人形とか、アニメ的なキャラクターが多かったんですけれど、自分がリアル系の人形を持ち込んだらすごく受けて、何十万円かで売れたんです。

G:
すごい!

堀:
やっているうちに、かわいい女の子とかを作ったりするようになったのですが、人形を買ってくれた男性から「会いませんか?」と誘われたこともありますが、冷静に考えたら自分そういう趣味は無いなと感じてそういう人形を作るのをやめました。

鳥羽:
ちょうど、押井さんも『イノセンス』とかで球体関節人形にハマってましたよね。

堀:
そうです、そういう時期でした。

G:
博物館に収める古生物の模型も作ったとのことで、足の裏は想像だったとのことですが、難しくはありませんでしたか?


堀:
結局のところ、向こうの方にも詳しくわかっていない部分だったので、想像で自由に作れたところだったから、難しくはなかったです。たぶん、ギーガーっぽい感じにしたんじゃないかと(笑)

G:
一方で、かなり監修が厳しい作品も手がけておられます。


堀:
これは、細かな資料があって、研究している学者の方の監修だったんです。手のひらに乗るぐらいの大きさの人形だから、刀はつまようじみたいなものなんですけれど「反り具合が違う」とか、「鎧の段数が1段足りない」とか、当時の日本にはサラブレッドみたいな馬はいないということで「馬の足が長い」とか、いろいろな監修を受けました。

G:
絵のあとに人形、立体物を手がけられて、さらには「好きなように作ったダイニングバーを経営していた」そうなのですが、これは最終的にはどうなったのですか?


堀:
千葉県の市川で店を借りて、内装を解体して工事して、水槽やソファを自分で作ったお店です。儲けが出たら従業員に売り渡すというスタイルを考えていたんですが、その人が「役者になりたい」と言い出して辞めちゃったんです。また人を育てるのは面倒だと思ったので、不動産屋に行って解約したのですが、普通、物件は原状復帰が必要で借りたときの状態に戻さないとダメなんですが、自分の場合、かなりいい雰囲気にできていたので、結構なお金をもらうことができて。

G:
これもすごい……。

堀:
後日見に行ったらスナックになっていて、般若の面とかが飾られていました。今も前をたまに通ることがあるんですが、見た目は同じでした。

鳥羽:
同じなんだ(笑)

G:
シルバーアクセサリーも手がけられたとのことなんですが、これは造形物からのつながりでしょうか?


堀:
これは25歳~27歳ぐらいのことで、クロムハーツが流行した時期の話です。作り始めたはいいんですが、雑誌を買って調べてみたら、いい作品がいっぱいあって。頑張れば売れると思ったけどなんとなく先が見えてしまったので、すぐにやめちゃいました。

G:
いろいろやってきたけれどやめてしまったという話は、SPICEに掲載されたインタビューの中で「今まで色々なジャンルに手を出しては、全て中途半端に終わっていたんです。どのジャンルにもすごい人がたくさんいるのに、今さら自分が頑張ったところでしょうがないと考えてしまっていたんです」という形で言及されていますが、今回、『JUNK HEAD』に関してやりきることができたのは、どういった理由だったのでしょうか。

堀:
それまでが中途半端だったなというのと、『JUNK HEAD』を作り始めたのが40歳ぐらいで、これが最後のチャンスの年齢だと思ったというのはあります。普通だったら諦めているかもしれない年齢ですよね。それまで、美術展に出せばそれなりに賞を取れるし、ものを作れば売れるぐらいのものはできるし、といういのを積み重ねていて、一方で、マンガを描いてストーリーを書くのは面白いというのも体験していました。映画は、撮影とか知らない部分が圧倒的に多かったんですけれど、それまでも自分は基本的に人に頼んだり、そもそも話したりするのが苦手で自分で調べて頑張っていくスタイルで、でもいろいろと仕事につなげてきた経験があるし、何十人もスタッフを雇う経験もありましたから「今回もやれるだろう」と、軽いといえば軽い気持ちでした。でも、自信はあったんです。

G:
映画制作のことは細かくブログに記録が残されていて、いろいろなものを自作しているのがわかるのですが、同時に、ありとあらゆるものをヤフオクで競り落としているのも見かけます。

堀:
確かにヤフオクは使いまくってましたね、貧乏なもので(笑) 映画制作のために節約して、ギリギリまで生活レベルを落としていたので。仕事の単価自体はいいんですけれど、映画をそれなりに作るとなるとお金がかかるので、節約術としてです。

G:
ヤフオクで、狙ったアイテムは最後まで競るタイプですか?

堀:
そこは、すぱっとやめちゃいます。「これ以上は出さない」と。

G:
使い方としては、「掘り出し物を探す」ではなく、「安いものをなんとかして探し出す」という感じでしょうか。

堀:
そうですね。

G:
『JUNK HEAD』は3部作であることが明かされていますが、SCREEN ONLINE掲載のインタビューの中で制作について「次回からはもっと、人手を使いたいですねー(笑)。何年もかけてられないので、早く作らないと!」と語っておられます。どれぐらいの人手が欲しいですか?

堀:
今回の『JUNK HEAD』が平均して3人ぐらいだったので、10人ぐらいが常駐してうまく回すことができれば、1年に1作品ぐらい、コンスタントに発表できるかなと思います。

G:
キャラクターを3Dモデリングでデザインしている様子をツイートされていますが、3Dモデリングのメリットとデメリットはどのように感じていますか?


堀:
多分、メリットしかない……かな? デメリットがあるとしたら、造形作品が1点ものじゃなくなるので、後で作品として売るときの価値が落ちるとか(笑)

G:
メリットとしては、どういったことがありますか?

堀:
やっぱり複製がいくつも作れるところです。粘土で実物を作るとなると限界がありますが、3Dモデリングなら表面から見えないような裏の裏までできますから。

G:
次回作では3Dプリンターを導入することになるようですが、3Dプリンターのどういったところに期待していますか?


堀:
『JUNK HEAD』のときはそこまで性能が高くなかったんですが、最近は光造形プリンターも実用的になってきていて、このツイート以降、さらに追加購入しています。うまく活用できるところでは活用していこうと思っています。

G:
次回作の絵コンテを仕上げたときのツイートもあって、宿坊の床一面にコンテが置かれていますが、どれぐらいのカット数で、どんな長さの作品になるのでしょうか。


堀:
カット数はいくつだったかな……2000以上?

鳥羽:
2050位あったかな?

堀:
時間的には1時間40分ぐらいです。

G:
神社の宿坊にこもったとのことなのですが、なぜこの場所を選んだのですか?

堀:
何もないところで集中するためだったんですけれど、いざ行ってみたら「ネットぐらいは欲しいな」と思いました(笑) そこはまったくネットがつながらなかったんです。

鳥羽:
僕はまさにその当事者で、『JUNK HEAD』続編のコンテについて「いくつか、こうした方がいいんじゃないですか」と相談したら、堀さんが「わかりました、直します。神社行ってきます」って言うから「ええ!?」って。

(一同笑)

鳥羽:
もともとは車中泊の予定だったっていうんですよ。あまりにも無謀だからと奥さんが止めてくれて。

堀:
「こういうのがあるよ」と、車中泊をする直前に奥さんが見つけてくれたんです。

鳥羽:
でも、神社にすごく怪しまれたらしくて「長期宿泊はダメです」と。

堀:
電話したら、宿坊に泊まるとしても普通は2~3日なので、長期はちょっと、と言われたんです。それで、電話だけじゃなく、ネットからも予約を入れてみたんです。そうしたら、たぶん名前を調べたんだと思うんですが、電話がかかってきて「いくらでも泊まってください」と(笑)

G:
(笑) ちなみに『JUNK HEAD』については「かなりヒットしないとうちには1円も入ってこないけど、ヒットすれば大きく稼げるというリスキーな契約にしている」とのことで、今のところパンフレットが唯一の収入とツイートされていましたが、次回作に取りかかれるぐらいにはなんとかなっているという感じでしょうか。


堀:
いや、まだ全然なんです……。

鳥羽:
これからですが、ご安心ください!

堀:
ツイートに写っていた3000部は1週間ぐらいで売り切れまして、大急ぎで次を印刷して、2万5000冊以上が売れたので、これから稼げるかなというところです。

G:
2021年12月に発売されたBlu-rayは自主制作で、自ら発送もしたとのことですが、実際に作業してみて手応えはいかがですか?


堀:
ひたすらに大変な作業ですけど、これを他に投げちゃうと儲けがほとんどなくなってしまうので。作品を作ってそれで利益を生み出すという作業を一通り経験することで、自由な作品を作れる新しい制作スタイルが作れるのではないかと感じています。

鳥羽:
アニプレックスはいわばビデオ屋ですから、「大変ですよ!」ってちゃんと忠告はしましたからね!

(一同笑)

G:
堀貴秀監督が語る『JUNK HEAD』に込めた思い」というWIRED.jpのインタビューの最後、堀監督は「ものづくりは批判することから始まると思っています。宗教やいまの社会をまず批判してみて、いいかどうかは別として、新しくつくったものをとりあえず試す。その繰り返しで少しずついいものに近づいていくのだろうと思います。ぼくは、まだまだだなって思いますけど(笑)」と答えていますが、どのあたりが自分自身について「まだまだ」だと思う部分ですか?

堀:
自分は記憶力もあまりよくないし、知識もないし、普通以下なんです。漢字も書けないし、かけ算も忘れかけてて。言葉で自分の考えを伝えることもうまくできません。でも、何かしら感じるものはあって、「こういうのはまずいだろう」とか「こういうことはもっとうまくやろう」とかはあって、そういうのを映像にして、一つの言葉を何年かかけて伝える。そういうスタンスなら、自分でもできるかなという気がしています。次回作は順調にいけば2年~3年ぐらいで見ていただけると思うので、ぜひ、よろしくお願いします。

G:
3部作だという『JUNK HEAD』の続き、楽しみにしております。本日は長時間、ありがとうございました。

『JUNK HEAD』のBlu-rayは税込4950円で発売中。

『JUNK HEAD』BD&DVD | YAMIKENstore
https://yamiken0123.stores.jp/items/6193867a2b3ca113a91a822b


Blu-rayに本編映像(100分)、メイキング映像(60分)が収録されているほか、同梱DVDに2017年完成段階のノーカットバージョン(114分)が収録されています。ノーカット版は動きを滑らかにするためのモーションブラー効果が外されていて、一時停止時の動きを明確に見ることができます。DVDの方がコマ送り・コマ戻し再生が行いやすく、細かい見方をするのに向いているとのこと。


また、『JUNK HEAD』の世界と全カットをフルカラーで収録したアートブックは税込4500円です。

『JUNK HEAD』アートブック | YAMIKENstore
https://yamiken0123.stores.jp/items/6193822372eb464ec78c4999


場面カットや設定だけではなくメイキングの様子なども収録したパンフレットは税込1500円です。

『JUNK HEAD』パンフレット | YAMIKENstore
https://yamiken0123.stores.jp/items/619247d672eb462af153ee9f


なお、2021年12月にNHK Eテレで放送された「BUZZ CREATORS 『映画監督 堀 貴秀 たった一人の映像革命』」がYouTubeで視聴可能です。堀監督がどのように人形を作っているかという様子だけではなく、この番組のために制作された、『JUNK HEAD』に登場する3バカが主役の新作短編「FRESH PEACH」も見られます。

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