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PCではもう「Ultra HD Blu-ray」を再生できなくなる、いったいなぜ?


近年発売される映像ソフトは、DVDやBlu-rayに加えて4K再生に対応した「Ultra HD Blu-ray」という形式でも販売されることが増えました。このUltra HD Blu-rayをPCで再生するには対応した光学ドライブやチップが必要とされていますが、2021年3月に登場したIntelの第11世代Coreプロセッサ「Rocket Lake-S」以降のCPUではUltra HD Blu-rayを再生できないことが話題となっています。

New Intel chips won't play Blu-ray disks due to SGX deprecation
https://www.bleepingcomputer.com/news/security/new-intel-chips-wont-play-blu-ray-disks-due-to-sgx-deprecation/amp/

Intel製CPUを搭載したCPUでUltra HD Blu-rayを再生できない問題は、Intelが2015年にリリースした第6世代Intel Coreプロセッサ「Skylake」以降で採用していたデータ保護技術「Intel Software Guard Extensions (Intel SGX)」が関係しています。このIntel SGXはDRMで保護されたUltra HD Blu-rayの再生にも利用されており、例えば2021年にパイオニアから登場した光学ドライブ「BDR-S13JBK」でUltra HD Blu-rayを再生するにはIntel SGXに対応したCPU&マザーボードが必須とされるなど、PCでUltra HD Blu-rayを再生するための必須技術として扱われてきました。


しかし、Rocket Lake-SのスペックシートではIntel SGXが非推奨技術の欄に記載され、2021年10月に発表された第12世代Coreプロセッサ「Alder Lake」でも引き続き非推奨技術として扱われることとなりました。


Intel SGXが非推奨技術となったことで、当該CPUを搭載したPCではDRMで保護されたUltra HD Blu-rayの再生が不可能となってしまいました。メディア再生ソフト「PowerDVD」などを展開するCyberLinkのFAQページにはこの問題について「SGX機能が削除され、最新のWindows OSおよびドライバーとの互換性がなくなったことで、最新のCPUやWindowsプラットフォームを使ってUltra HD Blu-rayを再生することは、不可能であると判断いたしました」と記されており、対応が困難であることが伺えます。


この問題を報じたBleeping Computerによると、Intel SGXには多数の脆弱性が存在し、多くの攻撃に利用されてきたとのこと。Bleeping Computerは「IntelはIntel SGXをサポートしないことで、セキュリティ上の利益を得られます。ほとんどのユーザーがPCでのBlu-rayの再生にこだわらないことを考えると、Intelが決定を下すのは簡単だったに違いありません」と述べています。その一方でBleeping Computerは「Blu-rayディスクはインターネットに接続せずとも4Kコンテンツを提供できます。また、ストリーミングとは異なり品質が安定しています。映画がストリーミングサービスから消えるか否か、または将来ユーザーの権利が変更されるか否かに関係なく、物理ディスクはコンテンツを永続的に利用可能にしてくれます。そして最後に、少なからぬ人々はディスクをドライブに置くという『儀式』を楽しんでいます」と、最新Intel製CPUを搭載したPCでUltra HD Blu-rayを楽しめない現状を憂うコメントを残しています。

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in ハードウェア, Posted by log1o_hf

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