中国のビットコイン業者は政府の目を回避しながら採掘を続けている
ビットコインの採掘(マイニング)の中心地だった中国で暗号資産(暗号通貨)の規制が強化されたことから、ビットコイン価格が急落する事態が起こりました。中国は「暗号資産のマイニングに関わる国営企業の電力価格を上げる」と発表しており、国内にマイニング業者が存在できない状態だと考えられていましたが、取材によって中国のあちこちにマイニング業者が点在していることが判明しています。
China's underground bitcoin miners
https://www.cnbc.com/2021/12/18/chinas-underground-bitcoin-miners-.html
China Is Mining Bitcoin Underground: Report - Bitcoin Magazine: Bitcoin News, Articles, Charts, and Guides
https://bitcoinmagazine.com/business/china-is-mining-bitcoin-underground-report
ビットコインの採掘には大量の電力を要し、これが中国の掲げる脱炭素の目標に反することから、中国政府は2021年5月にビットコインのマイニング&取引を取り締まる方針を示しました。
中国政府がビットコインのマイニング&取引を全面禁止する可能性 - GIGAZINE
その後、9月24日に中国政府はビットコインを始めとする暗号資産を全面禁止。違反者には刑事罰を科すとしました。さらに11月には産業規模のビットコインマイニングや国営企業による採掘活動への関与を禁止し、違反した場合は電力価格の値上げを行う旨を発表しました。
中国が「暗号資産のマイニングに関わる国営企業の電力価格を上げる」と発表 - GIGAZINE
もともと中国はビットコイン採掘の中心地と言われていたため、中国政府の規制によってビットコイン価格は大きく下落。ただし、その後12月には、ビットコインの採掘速度(ハッシュレート)が中国の規制前と同レベルにまで回復していると報じられました。これは、中国を拠点としていたビットコイン事業者が北米を中心とした海外に拠点を移したためだとみられています。
しかし、CNBCが報じた内容によると、2021年12月時点でも世界の20%にあたるビットコイン事業者が中国に存在しているとのこと。ピーク時には世界の事業者の65~70%が中国に存在したため大きく減少していますが、それでも一部の事業者は中国政府からの検出を回避し中国に留まっています。ケンブリッジ大学は2021年10月に「中国のハッシュレートの世界シェアはゼロ」だという分析結果を報告しましたが、中国のサイバーセキュリティ会社・Qihoo360は、毎日平均10万9000ものビットコインマイニングのIPアドレスがアクティブになっていると報告しているとのこと。
以下がケンブリッジ大学が公開するIPアドレスに基づいたビットコインのマイニングマップ。色が濃いほどマイニングが活発であることを示しており、中国はほぼゼロの灰色です。
中国でビットコインをマイニングしている人物がCNBCに語った内容によると、中国のマイニングビジネスはもはや大規模なものではなく、各地に数千人単位の小さなマイニング業者が散らばっている状態とのこと。これらのマイニング業者は海外のマイニングを援助する、いわば予備的な役割を担っているそうです。中国政府はマイニングを規制していますが、中国のマイニング業者は主要な電力網に接続されていない田舎の小さな電力網と、海外のマイニングプールを使うことで、政府の目を逃れていると述べています。
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