Amazonが習近平国家主席の著書に集まるレビューを全て削除していたという報道
by Adrienne Hoffman
Amazonが中国政府の要請に応じ、習近平国家主席の著書へのレビューや評価を削除していたということが通信社大手のロイターによって報じられました。ロイターはこの行為について「Amazonの中国での事業展開における努力の一環である」と記しています。
Special Report: Amazon partnered with China propaganda arm | Reuters
https://www.reuters.com/world/china/amazon-partnered-with-china-propaganda-arm-win-beijings-favor-document-shows-2021-12-17/
問題の著書は、習主席が行った講演や談話などを写真と共に記した「Xi Jinping: The Governance of China(日本語タイトル:習近平 国政運営を語る)」です。情報筋がロイターに対して明かした情報によると、中国政府は「星5未満のレビューが寄せられたため」に、Amazonに同書に関するレビューを全て削除するよう要請。Amazonはこれに従い、中国ドメインであるAmazon.cnで同書のレビューを削除し、新たなレビュー付けを無効にしたとのこと。
Amazon.cnの販売ページを見ると、実際にレビューが一切ないことが分かります。
ロイターは「Amazonのこの行為は、同社が世界最大の市場の1つである中国でビジネスを継続させるための努力の一環である」と記しています。Amazonは中国で電子書籍を販売するためのライセンス取得を行うために「チャイナブックスプロジェクト」を始動し、中国全土のテレビ・ラジオ・新聞・出版社を管轄する政府機関の国家新聞出版広電総局などと交渉を進めていったことがロイターが入手したAmazonの内部文書から明らかになっています。
また、Amazonは「中国のイデオロギー統制とプロパガンダは、共産党が力を維持するための鍵である」ということを認識し、「それが正しいかどうかの判断を行わないことにした」という決断を下すなど、中国における事業展開で多数の問題に直面していたとのこと。ロイターは「Amazonの中国戦略に関する問題は、世界で最も人口の多い市場に、そして言論統制を行う権威主義体制に相対する際に、欧米の企業が直面する課題があることを示している」と述べました。
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