「SNSが子どもに与える影響」を1年ごとに観察したところ顕著な影響を確認できなかったという研究成果

16歳未満のSNS利用を禁止する法律が2025年12月にオーストラリアで施行されました。また、イギリスやフランスなど複数の国でも同様の法案が検討されています。これらの法案は「SNSが子どもに悪影響を与える」という見方から検討に至っているわけですが、マンチェスター大学の研究チームによる「SNSの影響を1年ごとに調査した結果、顕著な影響は確認されなかった」という研究結果が2025年12月5日にJournal of Public Healthに掲載されました。
How do social media use, gaming frequency, and internalizing symptoms predict each other over time in early-to-middle adolescence? | Journal of Public Health | Oxford Academic
https://academic.oup.com/jpubhealth/advance-article/doi/10.1093/pubmed/fdaf150/8371934

Evidence for link between digital technology use and teenage mental health problems is weak, our large study suggests
https://theconversation.com/evidence-for-link-between-digital-technology-use-and-teenage-mental-health-problems-is-weak-our-large-study-suggests-273386
子どものメンタルヘルスに対するSNSの影響を調査する研究は数多く実施されています。しかし、研究チームは「多くの研究は特定の時点のスナップショットを対象としており、子どもに対する長期的な影響を調査できていない」と指摘。この問題を解決するべく、研究チームは学校や自治体を巻き込んだ「#BeeWell」という大規模な研究プロジェクトを発足し、2万5000人以上の子どもに対するSNSの影響を3年間にわたって調査しました。
研究では同じ子どもを8年生(12~13歳)、9年生(13~14歳)、10年生(14~15歳)の3年度に渡って調査を実施。さらに、「SNSライトユーザーとSNSヘビーユーザーの比較」といった異なるサンプル同士の比較だけでなく、「同じ子どものSNSやゲームに費やす時間が変化した際の影響」という同一サンプルでの経時的変化も細かく分析しました。
調査の結果、「SNSやゲームの使用」と「不安や気分の落ち込みといった内在化症状」の間に有意な関連性は認められませんでした。また、男女ともに「SNSの利用時間増加」や「ゲームのプレイ時間増加」がメンタルヘルスの悪化と関連していないことも確かめられました。
また、一般的に広まっている「SNSを使う時間の長さではなく受動的か能動的かという点が重要である。タイムラインを延々とスクロールし続ける受動的な利用よりも、写真投稿などの能動的な利用の方が悪影響が起きにくい」という言説も検証。その結果、受動的利用と能動的利用に分類してもメンタルヘルスの有意な要因とは言えないことが明らかになりました。
研究チームは「私たちの研究結果は、16歳未満に対するSNS利用禁止措置やゲームおよびアプリの使用時間制限が長期的には10代の若者のメンタルヘルスに栄養を与える可能性が低いことを示している。SNSやゲームの全面的な禁止は複雑な問題に対する安易な解決策を提示することで真のリスク要因を覆い隠してしまう可能性がある」と述べ、政策立案者に対して法案の慎重な検討を求めています。一方で「今回の研究はSNSやゲームの『使用直後』などの短期的な影響は調査できていない。また、ネットいじめや有害コンテンツへの暴露といった問題は依然として深刻な懸念事項である」とも述べています。
なお、研究チームは分析の結果得られた興味深い知見として以下の2点を挙げています。
・ある年にゲームに費やす時間が長かった女子は、翌年にSNSに費やす時間が短くなる。これは女子にとってゲームとSNSが限られた自由時間を奪い合う存在であることを示している可能性がある
・ある年に気分の落ち込みなどの症状レベルが高かった男子は、翌年にゲームをする頻度が減少した。これは男子にとって精神状態の悪化と趣味への興味喪失が関連している可能性を示している
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in ネットサービス, Posted by log1o_hf
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