SNSは10代のメンタルヘルスに悪影響を与える、ただしその影響は男女で異なる
By monkeybusiness
現代では若者の大半がソーシャルメディア(SNS)を活用しています。SNSは価値観のみならず健康に影響を与えることがかねてより指摘されてきましたが、その影響の度合いは「男女で差がある」ことが研究によって判明しました。
Roles of cyberbullying, sleep, and physical activity in mediating the effects of social media use on mental health and wellbeing among young people in England: a secondary analysis of longitudinal data - The Lancet Child & Adolescent Health
https://www.thelancet.com/journals/lanchi/article/PIIS2352-4642(19)30186-5/fulltext
Heavy social media use affects girls' mental health differently than boys
https://www.today.com/health/heavy-social-media-use-affects-girls-mental-health-differently-boys-t160683
ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンの小児保健研究所の研究チームが行った研究は、イギリス教育省から資金提供を受け若者の長期にわたる健康調査を行っているOur futureの調査結果を改めて解析するというもの。
今回の研究では、ソーシャルメディアの使用頻度・睡眠習慣・運動の頻度・オンライン上でのいじめについてイギリスの1万2866人の若者を13歳から16歳にかけて縦断的に調査したデータが使われました。
By monkeybusiness
調査結果によると、13歳から14歳までの区間で頻繁にSNSを使用していた子どもは、将来的に精神的な健康度を測定するアンケート式のテストであるGHQ12で「精神的に不健康」だと判定される可能性が高いことがわかりました。研究チームは女子が精神的に不健康だと判定されたことについては、「睡眠障害や運動不足、オンライン上でのいじめを受けたことなどが原因だと考えられる」と述べています。一方で、男子はこのような要因の影響を受けておらず、メンタルヘルスに影響を及ぼす何らかの別の要因があるはずだとみられていますが、調査では原因が明らかにならなかったとのこと。
今回の論文の筆頭著者であるラッセル・ヴァイナー教授は「SNS自体が精神的健康に害を与えるとは言えないものの、頻繁にSNSを使用すると精神的に良い影響を与える活動が妨げられる可能性があります」と述べています。
By vlad_star
ニューヨークのジョンスホプキンス病院の児童心理研究所気分障害局のジル・エマニュエルさんは今回の研究結果を受けて、「子どもに『SNSはダメ』と言うのではなく、『健康的なアクティビティを奨励する』というアプローチをとるべきです」とコメントしています。
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