サイエンス

アルコールや甘い物と同様に人を支配する「情報中毒」とは?

by Go to Jens Johnsson's profileJens Johnsson

「スマートフォンを触るつもりはなかったのに、気がついたら無意識でスマートフォンを取り出してSNSをチェックしていた」という経験がある人も多いはず。実際に、情報を処理中の脳をスキャンしてその活動を観察するという実験から、「脳の中で情報を求める部分と、報酬を感じる部分とが共通している」ことが判明したと発表されました。

Common neural code for reward and information value | PNAS
https://www.pnas.org/content/116/26/13061

How information is like snacks, money, and drugs -- to your brain: Researchers demonstrate common neural code for information and money; both act on the brain's dopamine-producing reward system -- ScienceDaily
https://www.sciencedaily.com/releases/2019/06/190619174530.htm

The Way Our Brain Values Information Suggests It Can Be Addictive, Like Food or Drugs
https://www.sciencealert.com/information-is-just-as-addictive-as-food-or-drugs-study-shows

カリフォルニア大学バークレー校の神経学者であるMing Hsu氏らの研究グループは、情報を求める脳の働きを解明すべく実験を行いました。実験では37人の被験者にゲームをやってもらい、プレイ中の脳をfMRIでスキャンしました。

実験に使用されたのは、ギャンブルをテーマとしたゲームで、参加者は賭けに乗る前に、その賭けを有利にする情報を買うかどうかを選ぶことができるようになっています。つまり、被験者は情報の価値を吟味して、賭けに勝ったときに報酬として得られる金額と比較することが求められるというわけです。

by Naomy Quiñones

被験者は多くの場合で「情報の価値が料金に見合っている場合にのみ購入する」という合理的な判断を行っていました。しかし、賭けに絡む金額が大きくなるにつれて、必要のない情報も購入してしまうような傾向も見られたとのこと。

また、実験中の被験者の脳をスキャンしたところ、情報を精査中の被験者の脳では、依存症に関与していることが示唆されている線条体や、理性や行動の制御などをつかさどる前頭前野腹内側部が活発になっていることが分かりました。

さらに、スキャン結果のデータをサポートベクター回帰という手法によりトレーニングした機械学習アルゴリズムで分析した結果、「報酬をつかさどる脳の働きと、情報の必要性を評価する脳の働きには共通の信号が使われている」ことも判明したということです。

Hsu氏は今回の研究結果について「さながらジャンクフードのように、私たちはこれまでにないほど目新しい情報で好奇心を満たすことができるようになっています。しかし、楽しい情報を求める脳の働きが、派手な見出しで興味をあおるクリックベイトなどに悪用されているように思われます」と述べていました。

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in サイエンス, Posted by log1l_ks

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