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「世界最古の幽霊の絵」が古代バビロニアの粘土板に描かれている


肉体が死んだにもかかわらず霊として現世にとどまる幽霊の話は世界各地に存在しており、例えば先史時代から語り継がれてきたとされるローマ神話にも、レムレースという害をなす死者の霊が登場します。大英博物館に収蔵されている約3500年前に作られた古代バビロニアの粘土板には、「世界最古の幽霊の絵」が描かれているとのことです。

Figures of Babylon: oldest drawing of a ghost found in British Museum vault | British Museum | The Guardian
https://www.theguardian.com/culture/2021/oct/16/figures-of-babylon-oldest-drawing-of-a-ghost-found-in-british-museum-vault

Oldest ghost drawing discovered on Babylonian exorcism tablet | Live Science
https://www.livescience.com/oldest-ghost-drawing-babylonian-exorcism-tablet

大英博物館で中東部門の上級学芸員を務めるアーヴィング・フィンケル氏は、地下保管室にある約3500年前の古代バビロニアの粘土板に、これまで見過ごされてきた「幽霊の姿」が描かれていることに気付きました。粘土板は19世紀に大英博物館がバビロンから買い取って以来ずっと保管されていましたが、幽霊の絵は光のある場所で上からのぞきこんだ時にだけ見えるとのことで、薄暗い保管室に置かれている状態では誰も幽霊の存在に気付かなかったそうです。

フィンケル氏は、「絵が描かれている部分には何も書かれていないように見えるので、誰も気にしないでしょう。しかし、ランプの下に置いて調べてみると、驚くべき方法で時間を超えて図形が飛び出してくるのです」と述べています。

幽霊が描かれているという粘土板がこれ。一見しただけではどこに幽霊が描かれているのかわかりにくいですが……


粘土板の左側に、顎ひげを生やした男性の幽霊の姿が描かれています。幽霊の手にはロープがかけられており、右側の女性がそれを引っ張っているという構図です。この絵だけでは幽霊だと断定するのは困難ですが、粘土板の裏面にびっしり書かれたくさび形文字の文章をフィンケル氏が解読したところ、その内容は「人をつかんで離さない幽霊」を冥界に送る方法を記したガイドだったそうです。


背面の説明によると、幽霊を追い払う儀式には男性と女性の人形を作る必要があります。そして、男性の人形に服を着せて旅支度をさせ、女性の人形は4着の赤い衣服で着飾らせて紫色の布で包んだ上で、ベッド・椅子・マット・タオル・くし・瓶などを用意します。続いて、日の出とともにビールを注ぐカーネリアンの器やビャクダンを詰めたつり香炉などを用意し、太陽神シャマシュを呼ぶ呪文を唱えながら人形を埋めるそうです。

この儀式は幽霊を人形に乗り移らせて、シャマシュの祝福を受けられるようにするものだと考えられており、表面に描かれた絵は「女性(の人形)が男性の幽霊と結婚することで男性の幽霊を冥界へ連れて行く」ことを示す図解だと推測されています。説明の最後には「後ろを振り返ってはならない」と記されており、フィンケル氏はこの警告が冥界に入った人形に向けたものだと考えていますが、儀式を行う人物に向けた警告の可能性もあるとのこと。


幽霊を冥界に送る儀式が実行されるのは、家の中の幽霊が本当に害をなして多くの人々が驚き、もう耐えられなくなった時だろうとフィンケル氏は指摘。「これは明らかに惨めな男性の幽霊を描いたものです。背が高く痩せていて、ひげを生やした幽霊が家の中をうろうろして、その家の人の神経を逆なでしていたことは想像に難くありません。最終的に、この幽霊が必要だったのは恋人だったのではないかと分析されています」「幽霊に仲間を与えることによって幽霊を取り除くことができるという考えは、かなり漫画的な発想です」と述べています。

幽霊が描かれた粘土板については、2021年11月11日に発売される「The First Ghosts:A rich history of ancient ghosts and ghost stories from the British Museum curator(最初の幽霊:大英博物館の学芸員が語る古代の幽霊と怪談の豊かな歴史)」という本の中で、メソポタミアに伝わる他の幽霊話とともに紹介される予定です。フィンケル氏は、「本のページに出てくる(古代メソポタミアの)人々は、美術館の建造物のようには見えません。違う惑星の変人のようにも見えません。彼らは私たちと同じ人間のように見えます」と述べ、幽霊について記された粘土板は当時の人々の人間性が現代と変わらないものだったことを示すものだと主張しました。

なお、大英博物館は「幽霊だらけ」ともいわれていますが、フィンケル氏自身は薄暗い地下保管室でさえ幽霊を見たことがないとのことです。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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