水についての科学的知識5選
地球表面積の7割を占める水は、我々人間を含めたすべての生物に欠かせない資源です。そんな水についての豆知識を5つ、カリフォルニア大学バークレー校の化学教授であるリチャード・セイカリー氏が解説しています。
Five Things We Still Don’t Know About Water—Richard Saykally Takes Us Inside Waters’ Mysteries
https://nautil.us/issue/25/water/five-things-we-still-dont-know-about-water
◆1:液体の水は2種類ある
水蒸気を極低温の基板に凝結させることなどで、通常の水とは異なり粘度が高く、結晶に近いが液体に固有の拡散現象を行うというアモルファス氷が生成されます。水がこのように2種類の分子構造を取ることは実験により観察されているとのことですが、その生成過程については議論が行われています。
◆2:氷は何種類あるのか
最新の情報では、氷の結晶系には合計17種類の形があることが知られているとのこと。しかし、これらのうち15種類は実験により得られたもので、自然に存在する氷の結晶は通常の氷Ih相と、上層大気中に存在する場合がある氷Ic相の2種類であるとセイカリー氏は説明しています。実験室で氷を生成する場合、圧力を加えると最密限界に達するまで低密度の固体形態がさまざまな構造に崩壊する可能性があり、これにより15種類の結晶氷が生成されるとのこと。
◆3:水はどのように蒸発するのか
液体の水の蒸発速度は、現代の気候モデリングにおける不確実な問題の一つだとセイカリー氏は話します。蒸発速度は分子間の衝突速度に蒸発係数と呼ばれる係数をかけたもので表されますが、蒸発係数の値は数十年に及ぶ研究の中で大きく変動しており、正確な数値は特定できていないとのこと。よって、水がどのように蒸発するかについての正確なメカニズムは完全には解析されていません。
◆4:液体の水は酸性なのか、塩基性なのか
個々の液滴は負に帯電しているように動くため、液滴の表面に負の水酸化物イオンが蓄積している証拠だと長い間考えられてきました。しかし、最近の実験では、水素イオンが水面に充満することで、塩基性の負に帯電したものではなく、酸性の正に帯電した表面を生成することが示唆されているとのこと。さまざまな要因が重なるために、どちらとも言えないとセイカリー氏は説明しています。
◆5:ナノサイズの空間に閉じ込められた水の性質
1ナノメートル(10億分の1メートル)ほどのサイズの疎水性空間に水を取り込むと、水分子が非局在化や水と氷の状態の境目が不明瞭となる現象を示すとのこと。通常の水とは著しく異なるこの状態は生物細胞から地質構造まですべてに影響を与える可能性があるとのことですが、その特性は依然として曖昧であり、今後多くの研究を行う必要があるとセイカリー氏は述べています。
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