Appleのオンデバイス音声認識API「SpeechAnalyzer」が英語ベンチマークでWhisper Smallを上回る

AppleがiOS 26やmacOS Tahoe 26向けに導入した音声認識API「SpeechAnalyzer」について、オンデバイスAIアプリ「Inscribe」の開発チームがOpenAIの音声認識モデル「Whisper」のTiny、Base、Smallと比較し、結果を公開しました。
Apple's New Speech API vs Whisper: The First Real Benchmark
https://get-inscribe.com/blog/apple-speech-api-benchmark.html

会議を録音して議事録を作ったり、講義の音声を検索可能な文章に変えたり、ボイスメモの内容を後から読み返したりする場合、長時間の音声を正確に文字へ変換する仕組みが必要です。ただし音声を外部サーバーへ送って処理すると通信環境によって文字起こしが止まる可能性があるほか、仕事上の会話や個人的な録音を端末外へ送ることへの懸念も生じます。
音声を端末内だけで処理するオンデバイス音声認識ならインターネット接続に頼らず文字起こしが可能です。Appleは従来から音声認識API「SFSpeechRecognizer」を提供していましたが、主に短い音声入力を想定した仕組みであり、会議や講義のような長時間音声やマイクから離れた話者の認識には課題がありました。
Appleは2025年6月の世界開発者会議「WWDC25」で、音声認識APIの次世代版に当たるSpeechAnalyzerを発表しました。SpeechAnalyzerはiOS 26をはじめとするAppleの各プラットフォーム向けに用意され、長時間の録音や会話、離れた場所から収録した音声に対応する新しい認識モデルを利用します。Appleによると、同じ技術はメモやボイスメモ、ジャーナルなどの機能にも使われているとのこと。
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ただしAppleの公式発表では、SpeechAnalyzerが従来方式や他社の音声認識モデルと比べてどの程度正確なのかを示す具体的な数値は公開されておらず、SFSpeechRecognizerから移行する価値があるものなのか、あるいはWhisperをアプリへ搭載したほうがマシなのか、開発者が判断できない状態でした。そこでInscribeの開発チームはアプリに搭載している5種類の音声認識エンジンを同じ条件で比較し、ベンチマーク結果を公開したというわけです。
検証には英語音声認識の評価で使われるデータセット「LibriSpeech」から、明瞭な朗読音声2620件と、より難しく雑音の多い朗読音声2939件が使われました。評価指標は単語誤り率を示す「WER」で、正しい単語を別の単語に置き換えた場合や、単語を抜かした場合、存在しない単語を追加した場合を数値化したものです。WERは数値が小さいほど文字起こしの精度が高いことを意味します。
明瞭な音声に対するWERはSpeechAnalyzerが2.12%、Whisper Smallが3.74%、Whisper Baseが5.42%、Whisper Tinyが7.88%、従来のSFSpeechRecognizerが9.02%でした。難易度の高い音声でもSpeechAnalyzerは4.56%となり、Whisper Smallの7.95%やSFSpeechRecognizerの16.25%を下回っています。SFSpeechRecognizerと比較すると、SpeechAnalyzerは単語誤り率を約4分の1まで減らした計算です。
| エンジン | test-clean WER | test-other WER | モデルサイズ |
|---|---|---|---|
| Apple SpeechAnalyzer (iOS/macOS 26) | 2.12% | 4.56% | システム内蔵 |
| Whisper Small (WhisperKit CoreML) | 3.74% | 7.95% | 約460MB |
| Whisper Base | 5.42% | 12.51% | 約140MB |
| Whisper Tiny | 7.88% | 17.04% | 約40MB |
| Apple SFSpeechRecognizer (legacy) | 9.02% | 16.25% | システム内蔵 |
すべての処理はM2 Proと32GBのメモリを搭載したMac上で、音声を外部サーバーへ送信せずに実行されました。SpeechAnalyzerはWhisper Smallより高い精度を記録しただけでなく、音声1秒当たりの処理時間も約3分の1だったとのこと。1時間の音声は各エンジンで約1分30秒から5分ほどで処理できましたが、ベンチマーク中は同じMacで開発用の処理も動いていたため処理時間にはばらつきが含まれているそう。InscribeはMacをアイドル状態にして再測定し、記事を更新すると説明しています。
一方で検証対象は英語の朗読音声に限られており、アクセントのある音声、複数人が話す会議、離れた場所から録音した音声などで同じ結果になるとは限りません。Inscribeはベンチマーク結果を受け、対応言語ではSpeechAnalyzerを優先し、それ以外ではWhisperを選択するよう音声認識エンジンの自動選択機能を変更したとのことです。
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in ソフトウェア, Posted by log1d_ts
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