「バネ仕掛けのわな」を作ってアリを捕獲するクモが発見される

オーストラリアの熱帯雨林に生息するクモの一種が、独創的な「バネ仕掛けのわな」を作ってどう猛なツムギアリを一匹ずつ捕まえていることを、国際的な研究チームが発見しました。このクモはPropostira(プロポスティラ)属のクモの一種であり、正式名称は未登録ですが論文中では「Australian ballista spider(オーストラリアバリスタグモ)」と呼ばれています。
Ballistic high-powered spider webs overcome dangerous prey defenses: Current Biology
https://www.cell.com/current-biology/fulltext/S0960-9822(26)00570-1
Newly described Australian ballista spider builds a spring-loaded snare to catch a single ant species
https://phys.org/news/2026-06-newly-australian-ballista-spider-snare.html
ツムギアリは南アジアやオーストラリアなどに分布する樹状性のアリで、ギ酸を主成分とする毒を分泌し、非常にどう猛かつ攻撃的な性格であることが知られています。そんなツムギアリの採餌経路に近い木の上に生息するオーストラリアバリスタグモは、ツムギアリを捕獲するためのわなを張るとのこと。
マッコーリー大学のアジェイ・ナレンドラ教授と大学院生のプラナブ・ジョシ氏らは、オーストラリア北東部のクイーンズランド州にある熱帯雨林で10日間を過ごし、オーストラリアバリスタグモの詳細な観察を行い、高速カメラと赤外線カメラでその行動を観察しました。
実際にオーストラリアバリスタグモが仕掛けるわながどのようなものなのかは、以下の動画を見るとよくわかります。
Ballistic high-powered spider webs snare ants / Curr. Biol., June 22, 2026 (Vol. 36, Issue 12) - YouTube

ツムギアリは木の上に葉を丸めた巣を作る習性を持っており、非常に縄張り意識が強いとのこと。夜間も巣の周りをパトロールしたり、木の上でエサを探したりするそうです。

オーストラリアバリスタグモは、ツムギアリがエサを探し回る経路の上で息を潜め、わなを張って待ち構えています。以下を見ると、待ち構えるオーストラリアバリスタグモ(Spider)と円錐(すい)形のわな(Conical snare)、そしてわなに引き寄せられたツムギアリ(Ant)の位置関係がよくわかります。

オーストラリアバリスタグモのわなはツムギアリから攻撃的な反応を引き出し、ツムギアリは円錐形の部分にかみつきます。やがてわなが作動し、ツムギアリが勢いよく上方に打ち上がりました。この時のスピードは秒速1300mを超えるとのこと。

上方に跳んでいったツムギアリは巣に引っかかり、オーストラリアバリスタグモの餌食となってしまうわけです。

オーストラリアバリスタグモは夜になると隠れ家を出て、巣から数十cm下の葉や枝、地面などにアンカーポイントを設置します。

ここを起点に巣まで続く垂直構造を張り、アンカーポイントの部分に糸を重ねて不透明の円錐形を作成。

円錐形のわなができあがると、オーストラリアバリスタグモは上方へと退避します。この際、オーストラリアバリスタグモはわなにツムギアリを誘引し、攻撃的な反応を引き出すためのフェロモンを分泌していると考えられています。

すると、わずか数秒のうちにツムギアリが円錐形のわなを発見。

ツムギアリはあっという間に上方の巣への打ち上げられて、画面から消えてしまいました。

わなが作動する瞬間をスローモーションで観察すると、ツムギアリが円錐形の部分にかみついていることがわかります。

やがて円錐構造が不安定になると、糸がアンカーポイントから剥がれてしまいます。

すると、伸びきっていた糸が急速に収縮し、わなにかみついたままのツムギアリはそのまま打ち上げられてしまうというわけです。

ナレンドラ教授は、「オーストラリアバリスタグモのわなは糸に弾性エネルギーを蓄え、それを素早く放出するように生物工学的に設計されており、他のどの特殊な糸ベースの生物カタパルトよりも驚異的な瞬間パワー密度を実現しています」「このわなの仕組みは、クモが潜在的に危険な獲物を一度に1匹ずつ捕獲し、アリの通り道や巣から安全な距離まで運ぶための高度に特殊化された方法として進化してきたようです」と述べました。
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