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iPhone 13 Proをバラバラ分解、製造コストは約6万3000円と推計


技術解析レポートを発行しながらマイクロエレクトロニクス業界向けに技術・知財コンサルタントを行うTechInsightsが、iPhone 13 Proをバラバラに分解し、使用されているコンポーネントを特定することでその製造コストを算出しています。

Apple iPhone 13 Pro Teardown | TechInsights
https://www.techinsights.com/blog/teardown/apple-iphone-13-pro-teardown

iPhone 13 Pro costs Apple $21 more to build than iPhone 12 Pro, study finds | AppleInsider
https://appleinsider.com/articles/21/10/04/iphone-13-pro-costs-apple-21-more-to-build-than-iphone-12-pro-study-finds

TechInsightsが分解したのは、iPhone 13 Proの256GBモデルとiPhone 13の256GBモデルの2つ。iPhone 13 Proの製造コストについて、TechInsightsは「A15 Bionic、NANDメモリ、ディスプレイサブシステムの価格推定コストの増加および、非電子コストの合計に影響を与えたメインエンクロージャーのコスト増加により、製造コストがiPhone 12 Proよりも高くなった」と記しています。

以下の表はiPhone 13 Pro(左)、iPhone 12 Pro(真ん中)、Galaxy S21+5G(右)の推定製造コストを比較したグラフ。なお、Galaxy S21+5Gもメモリは256GBのモデルの製造コストを算出しています。製造コストはiPhone 13 Proが570ドル(約6万3000円)、iPhone 13が548.5ドル(約6万1000円)、Galaxy S21+5Gは508ドル(約5万6000円)です。iPhone 13 ProはiPhone 12 Proよりも製造コストが28.5ドル(約3200円)高くなっています。


TechInsightsはiPhone 13 Pro内のコンポーネントの一部を特定したとしています。以下がiPhone 13 Proのロジックボードの一部で、シアンブルーの囲み線部分にある「A15」と書かれたチップがメインのA15 Bionic。A15 Bionicには6GBのSDRAMが併設されています。その他、特定できたコンポーネントとしては、青色部分に「Apple APL1098 PMIC」、紫色部分に「NXP Display Port Multiplexer」、赤色部分に「Skyworks SKY58271-19 Front-End Module」、水色部分に「Skyworks SKY58270-17 Front-End Module」、緑色部分に「Apple/Dialog Semi 338S00770-B0 PMIC」、黄緑色部分に「Apple/Dialog Semi 338S00762-A1 PMIC」、オレンジ色部分に「STMicroelectronics STB601A05 PMIC」、ピンク部分に「USI Apple U1 UWB Module」、黄色部分に「Texas Instruments TPS65657B0 Display Power Supply」。


緑色部分に「KIOXIA 256 GB NAND Flash」、黄色部分に「Apple/Cirrus Logic Audio Codec」、水色部分に「NXP SN210 NFC & Secure Element」、青色部分に「Apple/Cirrus Logic Audio Amplifier」、赤色部分に「Apple/Cirrus Logic Power Conversion」


シアンブルー部分に「Qualcomm Snapdragon X60 5G Modem」、青色部分に「Qualcomm RF Transceiver」、紫色部分に「USI Wi-Fi/BT Wireless Combo Module」、赤色部分に「Qualcomm PMX60 PMIC」、水色部分に「STMicroelectronics Secure MCU/eSIM」、緑色部分に「Qorvo Envelope Tracker IC (2 pcs, likely)」、黄緑色部分に「Qualcomm Envelope Tracker IC」、オレンジ色部分に「Avago Front-End Module」、ピンク部分に「Broadcom Wireless Charging Receiver IC」


iPhone 13 ProではA15 Bionicやオーディオコーデック、オーディオアンプなど独自のチップを複数採用していますが、高周波回路(RF)設計にはQualcomm製のチップが採用されており、他にもKIOXIA、NXP、STMicroelectronics、USI、Qorvo、Broadcomといったメーカー製のチップが採用されています。

iPhone 13 ProとiPhone 13に搭載されているA15 Bionicはどちらも同じ「APL1W07」というモデル番号のチップですが、Package on Package(PoP)上のSDRAMはiPhone 13 Proが6GBで、iPhone 13は4GB。A15 Bionicのダイサイズは8.58mm×12.55mm=107.68平方mmとなっており、A14 Bionicよりも22.82%大きくなっています。なお、A15 BionicのGPUコア数はiPhone 13 Proが5コア、iPhone 13が4コアです。

iPhone 13はメインカメラのイメージセンサーがすべて12メガピクセル。iPhone 13のメインカメラのピクセルピッチは広角カメラが1.7µmで、iPhone 12の1.4µmから微増し、これによりアクティブアレイサイズが47%増加しています。ただし、iPhone 12 Pro Maxのメインカメラは広角カメラのピクセルピッチが1.7µmだったので、iPhone 13はiPhone 12 Pro Maxの広角カメラのCISダイを再利用した可能性が「非常に高い」とTechInsightsは指摘しています。


一方、iPhone 13 Proのメインカメラの広角カメラはピクセルピッチが1.9µmで、iPhone 12 Proの1.4µmから増加しています。これによりアクティブアレイサイズが84%増加し、より暗所での撮影にも強いカメラに仕上がっているとのこと。広角カメラのCISダイはiPhone 13 Pro Maxにも使用されている可能性が高く、iPhone 13シリーズのCISダイとしては最大のものとなっています。iPhone 13とiPhone 13 Proの超広角カメラと、iPhone 13 Proの望遠カメラはどれも同じダイを利用しており、ピクセルピッチは1.0µm。

iPhone 13シリーズのTrueDepthカメラは赤外線(IR)カメラがモジュールの左側から右側に移動していますが、カメラモジュールのダイサイズなどに変更はなく、移動はIRプロジェクターモジュールと一体化したことによるものとのこと。


「Qorvo QM81030」はiPhone 12シリーズにも搭載されていたもので、型番まで同じものが採用されています。しかし、X線写真を撮影すると中の構造が微妙に異なるそうです。

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in モバイル,   ハードウェア, Posted by logu_ii

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