900万円超の現金を美術館から受け取ったアーティストが「お金を持ち逃げした」というタイトルで真っ白なキャンバスを提出
2021年9月25日、デンマークの美術館から紙幣を用いたアート作品の素材として53万4000クローネ(約940万円)の現金を貸与されたアーティストが、何も描いていない真っ白なキャンバスに「Take the Money and Run(お金を持ち逃げした)」というタイトルを付けて提出したと報じられました。アーティストは契約に不満を訴えており、「お金は返さない」と主張しています。
Kunstneren tog pengene og løb: 'Værket er, at der mangler en halv million' | Kultur | DR
https://www.dr.dk/nyheder/kultur/kunstneren-tog-pengene-og-loeb-vaerket-er-der-mangler-en-halv-million
A museum says they gave an artist $84,000 in cash to use in artwork. He delivered blank canvases and titled them "Take the Money and Run." - CBS News
https://www.cbsnews.com/news/jens-haaning-take-the-money-and-run-blank-canvases/
Danish artist Jens Haaning takes museum's money and runs in protest over 'miserable' work conditions | Euronews
https://www.euronews.com/next/2021/09/28/danish-artist-jens-haaning-takes-museum-s-money-and-runs-in-protest
デンマークのアーティストであるイェンス・ハーニング氏は、クンステン近代美術館からハーニング氏の過去作「An Average Danish Annual Income(デンマークの平均年収)」と「An Average Austrian Annual Income(オーストリアの平均年収)」を再現し、新たに作成するよう依頼されたとのこと。クンステン近代美術館は2021年9月24日から労働を題材とした展覧会「Work It Out」を開催中であり、ハーニング氏の作品もそこに展示される予定でした。
ハーニング氏と美術館との間で交わされた契約によれば、ハーニング氏が再現する作品は、ガラスのフレームの中に紙幣を散りばめることにより、平均年収を視覚化したものになるはずでした。美術館側は作成のためにハーニング氏に53万4000クローネを貸し、展示終了時にはお金を返してもらうという契約を結んでいました。
しかし、ハーニング氏から提出された作品を見た美術館職員は、真っ白なキャンバスと木枠があるだけで、現金がどこにもないことに気がつきました。また、美術館職員はハーニング氏から「作品のタイトルを『Take the Money and Run』に変更した」と書かれたメールを受け取ったとのこと。
ハーニング氏は今回の作品について「過去作の再現のためにはお金が足りない」と主張。「仕事をするために自分のお金を払うことを求められているような、私と同じような労働条件の人は、私と同じようにその状況を打破するべきだ」と述べています。ハーニング氏はまた「美術館が提示した報酬条件に対する抗議である」「芸術業界内でより公平な規範を確立するために、芸術家の権利と労働条件に疑問を投げかける」と述べました。
クンステン近代美術館の艦長を務めるラッセ・アンダーソン氏は、「ハーニング氏は興味深い芸術作品を作成した」と考え、作品をそのまま展覧。しかし、展覧会の終了と共にハーニング氏が全額を返還しない場合は「契約を順守してもらうために、必要な措置を講じる」とのこと。アンダーソン氏はまた「ハーニング氏には作品の展示料として1万クローネ(約18万円)を支払う契約だった」と説明しています。
ハーニング氏は「お金を返すつもりはない。これは盗難ではなく『契約違反』であり、契約違反も仕事の一部だ」と主張しています。
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