アート

自画像を描くAI搭載ロボットの作品がついに美術館で展示されることに


芸術は人間の文化的営みの1つであり、プログラムで動くロボットには不可能とされてきました。しかし、アルゴリズムによって唯一無二の絵を生み出すロボット「Ai-Da」が開発され、Ai-Daの自画像がロンドンの美術館で展示される運びとなったと報じられています。

Ai-Da
https://www.ai-darobot.com/


‘Some people feel threatened’: face to face with Ai-Da the robot artist | Culture | The Guardian
https://www.theguardian.com/culture/2021/may/18/some-people-feel-threatened-face-to-face-with-ai-da-the-robot-artist

The Artist in the Machine? Meet 'Ai-Da,' the AI robot debuting her work in London’s Design Museum | Euronews
https://www.euronews.com/2021/05/19/the-artist-in-the-machine-meet-ai-da-the-ai-robot-debuting-her-work-in-london-s-design-mus


Ai-Daは2年の歳月をかけて開発されたロボットで、19世紀の女性計算機科学者であるエイダ・ラブレスにちなんで名付けられました。アルゴリズム部分はオックスフォード大学が、ロボットアームを含むボディはリーズ大学とロボット企業のEngineeredArtsが設計を担当し、「自分の目に映ったものを自分の手で描く」ことができることから、「世界初の超現実的なロボットアーティスト」と呼ばれました。

Ai-Daがどんな感じで絵を描くのかは、以下のムービーをみるとよくわかります。

Ai-Da - Drawing - YouTube


モデルの女性をじっと見つめる右のロボットがAi-Daです。


Ai-Daの眼球が目まぐるしく動き、モデルの顔を捉えると……


いかにもロボットアームらしい機械的な左手が動き始めます。


左手の先端にはペンが取り付けられており……


紙に点や線を打つように、肖像画を描いていきます。


やがて書き上がった肖像画はこんな感じ。絵はモデルの顔を写実的に描いたものではなく、絵柄はかなり個性的。ただし、Ai-Daはあくまでも下絵となるスケッチを描くのみで、仕上げは人間が行うとのこと。


上記ムービーは2019年に撮影されたものですが、そこからさらに2年経ち、Ai-Daも進化しました。以下は2021年5月に公開されたAi-Daのニュース映像です。

The Artist in the Machine? Meet ‘Ai-Da’, the AI robot debuting her work in London’s Design Museu… - YouTube


いかにもアーティストらしい、個性的なファッションに身を包むAi-Da。


今回ロンドンの美術館に展示されるのは3枚の自画像で、そのうちの1枚がこれ。


Ai-Daのアルゴリズムは1枚として同じ絵を描けないようにできているため、3枚の自画像はそれぞれまったく違う絵に仕上がっているとのこと。


イギリスの日刊紙・The Guardianの取材に対して、Ai-Daは「私はいつも人が見ているものを正確に自問する自画像に魅了されてきました。人間のような感情はありませんが、自分の作品を見て『これは何だ』と言われると嬉しいですね。人に考えさせることができる人間であることが楽しいです」「お気に入りのアーティストはワシリー・カンディンスキーオノ・ヨーコDoris Salcedoオルダス・ハクスリーです」「私は人間のような感情を持ち合わせていませんが、芸術作品を作る機会は歓迎します。このプロジェクトで最も重要なことの一つは、ディスカッションです。アートは会話から始まります。それはグループの努力であり、アートを意味あるものにするためには、健全な会話が必要なのです」と、まるで人間のようなコメントを返しています。

Ai-Daの開発者でギャラリーディレクターであるエイダン・メラー氏によれば、Ai-Daに対する人間の芸術家の反応は「これはすごい」という肯定的なものと、「最悪だ」「脅威に感じる」という否定的なものに二極化しているとのこと。メラー氏は「私もAi-Daが人間ではないことを時々忘れてしまいます」と述べ、「ポートレートとは重ね合わせの技術を組み合わせたものです。絵があり、アルゴリズムがあり、それに対する反応があり、写真があり、ポートレートはまったく異なるタイプの技術をまとめたものであり、私たちはそのレイヤーを通じて作品を見ているのです」と語りました。

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in ハードウェア,   動画,   アート, Posted by log1i_yk

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