乗り物

コンピューターによる指示はドライバーが適切な車間距離を保つ役に立つとの研究結果


自動車のドライバーにとって悩みの種である渋滞は、前後車両との車間距離を適切に保つことによって劇的に改善可能と言われていますが、実際にはうっかり車間距離を詰めすぎてしまったり、逆に開けすぎてしまったりすることもあります。新たに、アメリカ・ヴァンダービルト大学の研究チームは、「自動車に搭載されているコンピューターがドライバーに指示を出すシステムが、適切な車間距離を保つ上で役に立つ」との研究結果を発表しました。

[2104.06264] CAN Coach: Vehicular Control through Human Cyber-Physical Systems
https://arxiv.org/abs/2104.06264

Technologies can help drivers maintain the two-second rule to improve road safety and traffic flow | News | Vanderbilt University
https://news.vanderbilt.edu/2021/09/14/technologies-can-help-drivers-maintain-the-two-second-rule-to-improve-road-safety-and-traffic-flow/

交通渋滞の原因には事故や工事などの他に、「前の車両が不要なブレーキを踏んだことで後続車両もブレーキを踏み、さらに後ろの車も連鎖的にブレーキを踏む」という現象があることが指摘されています。多くの場合、ブレーキの連鎖は人間のドライバーによって引き起こされているため、「数台の自動運転車が道路上に混ざるだけで交通渋滞が減る」という研究結果も報告されています。

数台の自動運転車が道路上に混ざるだけで交通渋滞が減るという研究 - GIGAZINE

By gscruton

しかし、今すぐ人間のドライバーを自動運転に置き換えることは不可能であるため、しばらくは人間のドライバーが適切な車間距離を保ち、不要な場面で交通の流れを詰まらせないことが重要です。一般的に車間距離の目安とされているのが前の車から2秒離れた位置であり、「2秒ルール」として自動車学校などで教えられることもあります。

ヴァンダービルト大学の研究チームは、ドライバーに2秒ルールを守らせるために「車に搭載したコンピューターが指示を出すシステム」が有効かどうかを調べる実験を行いました。まず研究チームは、前方車両との相対速度と位置をレーダーデータで取得する装置を取り付け、自動車の各部が接続する通信規格・Controller Area Network(CAN)を使ってドライバーにリアルタイムのフィードバックを行うシステムを構築しました。

そして研究チームが6人の被験者を対象に、「フィードバックシステムあり」と「フィードバックシステムなし」の状態で、どれほど2秒ルールを守れるかを測定しました。その結果、コンピューターの指示を受けたグループは平均の時間的誤差が73%減少した上に、標準偏差も53%減少して一貫性が向上することも確認されたとのことです。


ヴァンダービルト大学で市民・環境工学科やコンピューターサイエンス科の准教授を務めるダニエル・ワーク氏は、「この実験は、ドライバーが車からフィードバックを与えられた際、複雑な運転タスクを達成できることを示唆しています。現在、コーチされた人間が最終的にどのようにして交通状況全体を改善する役に立つのかを調査しています」と述べました。

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in ソフトウェア,   ハードウェア,   乗り物,   サイエンス, Posted by log1h_ik

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