サイエンス

数台の自動運転カーが道路上に混ざるだけで交通渋滞が減るという研究

By gscruton

アメリカや中国を中心に開発が進む自動運転カーは、安全な運転を可能にすることに加え、機械学習を活用することで道路の渋滞を軽減できるかもしれないという研究結果が発表されました。

Watch just a few self-driving cars stop traffic jams | Science | AAAS
https://www.sciencemag.org/news/2018/11/watch-just-few-self-driving-cars-stop-traffic-jams

自動車を運転しているとたびたび交通渋滞に出くわすことがありますが、事故や工事などが原因で起こっている渋滞がある一方で、まったく原因がわからずに「いつの間にか渋滞が終わってたけど何で渋滞してたの!?」と思ってしまう不思議な渋滞に遭遇したことがある人も多いはず。交通工学の研究により、原因不明とされてきた渋滞は、1台の車が不要なブレーキを踏んでブレーキランプを点灯させることで後ろを走る車もブレーキを踏み、さらにその後ろの車……という風にブレーキが連鎖的に踏まれることで徐々に多くの車がスピードを落とし、最終的には完全にストップしてしまう状況さえも作り出してしまうことがわかっています。

この、後ろ方向に進む「ブレーキの衝撃波」は多くの場合、人間のドライバーによって引き起こされているとのこと。本来であれば必要のないブレーキを操作することがないように、人工知能(AI)に機械学習を行わせて自動運転カーの走り方に反映させる研究が行われています。


研究を率いているのは、カリフォルニア大学バークレー校(UCLA)のEugene Vinitsky氏らの研究チーム。強化学習で走り方をAIに学習させることで、渋滞を引き起こさないスムーズな道路の流れを生み出す研究が行われています。チームでは、渋滞の発生を防止するためのアルゴリズム「FLOW」を開発し、人間のドライバーと組み合わせた走行シミュレーションを行うことで、どの程度渋滞を防止できるかを調査しています。

その一例が次の2本のムービー。ともに円状の道路を22台の自動車が走るというシミュレーションで、最初のムービーでは22人の人間をシミュレートした運転が行われています。最初はスムーズに流れているように見えた道路ですが、次第に一部で車間距離が近づきはじめ、最後には完全に停車してしまう大渋滞へと発展します。

Single-lane ring (0 AVs, 22 human-driven vehicles) - YouTube


しかしここに、1台の自動運転カー(AV)を投入すると状況が一変。適度な車間距離を保つ自動運転カーのおかげで集団の「ゆらぎ」が吸収され、無駄な加減速がなくなって渋滞がウソのように発生しなくなりました。

Single-lane ring (1 AV, 21 human-driven vehicles) - YouTube


その様子は、道路が八の字に交差するシチュエーションでも同様に起こるとのこと。人間の運転だと、以下のムービーのように交差点で渋滞が発生してしまいますが……

Figure 8 (0 AVs, 14 human-driven vehicles) - YouTube


自動運転カーが入ると、全体がスムーズに流れるようになります。最初の部分で動き出しのタイミングを計っているのも大きな理由だといえそうですが、走り出してからもスピードを絶妙に調節することで交差点での鉢合わせを回避しているのかも。

Figure 8 (1 AV, 13 human-driven vehicles) - YouTube


上記のムービーで重要なポイントは、「適切な間隔を空けることで渋滞の発生は抑えられる」というところにあります。車間距離が小さくなると、後続のドライバーはどうしてもブレーキを多く踏むようになります。すると点灯したブレーキランプを見た後続のドライバーがまたブレーキを踏む、という連鎖で渋滞は発生します。

その様子がよくわかるのが次の2本のムービー。高速道路の本線に合流する道路をシミュレートした状況なのですが、本線上をひっきりなしに車が流れているところに支線から車が合流すると、それをきっかけに渋滞が発生してどんどんと停滞が長くなっていきます。

Merge 0% CAV Penetration - YouTube


一方、本線の流れの中に適度な「バッファ」が存在すると、仮に渋滞が発生してもそのバッファがゆらぎを吸収して渋滞が連鎖的に長くなってしまうのを防いでくれることがわかります。よく見れば、後続の自動運転カーは目の前の状況を認識することで、自車の走り方を変えているようにも見えます。

Merge 5% CAV Penetration - YouTube


このように、渋滞の発生を抑えるためには適度なバッファを流れに持たせることが重要であり、その実現のために自動運転カーが役に立ちそうであるということがわかる研究結果でした。とはいえ、そのバッファは必ずしもAIが作るだけのものではなく、人間のドライバーが少し心がけるだけでも再現は可能。「急がば回れ」の言葉のように、ゆとりのある運転を多くの人が心がけるだけで渋滞は回避できるのかもしれません。

しかし一方で、「自動運転カーにより渋滞が悪化する」という考え方もあることも理解しておくのも重要といえそう。

自動運転カーが走り出すと交通渋滞が劇的に悪化する - GIGAZINE


研究チームは渋滞回避アルゴリズム「Flow」を公開しているので、気になる人は以下のリンクから入手してみると良さげです。

Flow
https://flow-project.github.io/index.html

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in ソフトウェア,   乗り物,   サイエンス,   動画, Posted by darkhorse_log

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