自動車の渋滞に巻き込まれない・渋滞を作らない方法とは?
By Michel G.
お盆の季節や年末年始、ゴールデンウィークになると各地の高速道路などではウンザリしてしまうほどの渋滞が生じるようになります。多くの場合は事故などの出来事や交通集中による渋滞であるものですが、近年は特に理由がないのに渋滞が発生するメカニズムの存在が知られるようになってきています。
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日々の道路で発生する渋滞の原因には、道路工事や事故、そしてトンネルの入り口で発生するトンネル渋滞などが知られています。
しかし、これだけでは説明のつかなかった、原因不明の渋滞の謎が近年の研究で明らかになっています。
その研究の様子がコレ。円状のコースを全車が一定の速度で周回するように指示されて車を走らせて……
例えばその中の1台、ここでは白い自動車が不意に速度を落としたとします。すると後続の車両が衝突を避けようとしてブレーキを踏み……
やがて、そのブレーキがブレーキを生んで渋滞が発生し、ついには後続の自動車が停止寸前にまでに追い込まれてしまいます。
ある研究では道路を走る自動車を「分子」に例えて、通常時の交通を「液体」、そして渋滞時の交通を「固体」と表現しています。
渋滞が発生せず、好調に流れている状態の自動車は「液体」で、大きな障害なく走行することができます。
しかし、ひとたび渋滞が発生すると、交通の状態が液体から固体へと相転移を起こします。これにより、混雑した自動車の固まりは柔軟性をなくし、ギチギチの渋滞が発生してしまうという理論です。
多くの場合、渋滞を引き起こすのは意外にも速いスピードで走っている自動車です。ほかの車よりも速いスピードで飛ばしていた車が前の集団に追いつくと……
当然のことながら減速して流れに合流。この時、スピードを落とすためにドライバーはブレーキを踏み、ブレーキランプが点灯します。
この減速と、さらにはブレーキランプの点灯が後続車のドライバーにブレーキを踏ませます。そしてさらにその後ろの車がブレーキを踏み……という形でブレーキが後ろへと伝播していくことで集団後方の車速がどんどんと低下し、渋滞が発生するというメカニズムです。
そしてこの状況を作り出しているのが、人間であるドライバーです。調査によると、ドライバーの80%から90%は自分がほかのドライバーよりも運転が上手と考えていますが……
理論的に考えて、これはもちろんあり得ないこと。また、人間には多くあふれる情報の中から選択的に注意を向けることができる選択的注意という能力がありますが、これは逆に言うと注意しているもの以外はあまり入ってこないという面も。
また、「自動車に乗ると人格が変わる」などというように、なぜかハンドルを握ると攻撃的になる人もいます。このような人間の性質が多く集まることで、道路上では混雑や渋滞が起こるというわけです。
それでは、渋滞を引き起こさない運転を行うためにはどうすれば良いのか。まずは、前後の車との車間距離を十分に取ること。そうすることで、前の車が急減速をしても、余裕を持って対応することができます。
そして「ゆっくり走る」ということも、実は渋滞を起こさないための方法の1つ。速すぎるスピードはいつか減速を生み、その減速が渋滞のタネになるというのがその理由です。ゆっくり走るためには、あらかじめ決めておいた速度を一定に保つ「クルーズコントロール」などの機能が有効。
これを半ば強制的に行っている国もあります。ベルギーやオランダでは、交通量が多くなった時にワザとゆっくりと走る「ブロック・ドライビング」と呼ばれるテクニックがあるとのこと。時には警察の車両がこの先導を務めることもあるそうです。
2020年ごろの実用化が目指されている自動運転車も、渋滞軽減に役立つと期待されている技術の1つ。科学者の中には、アリの行動パターンから渋滞回避の方法を見いだしたケースもあります。また、ハリウッドでは交通状況に応じて信号のパターンを自動で変化させる仕組みを取り入れたところ、渋滞が14%軽減されたという結果も出ているとのこと。
公共交通機関の利用も渋滞解消に役立ちます。移動に自動車を使用している人の1%が公共交通機関を利用することで、交通量がなんと18%も減少するという研究結果をMIT(マサチューセッツ工科大学)が発表しています。
また、自動車メーカーレベルで車両と交通インフラを統合して道路状況を改善させようという動きも出ています。ちなみに、ここではトヨタの名前が出ていますが、このムービーはトヨタのサポートを受けて作成したものだとか。
トヨタは衝突防止装置や自動ハイビーム、車線逸脱防止装置を備えた「カローラiM」と呼ばれるモデルを2016年9月に北米で発売するとのこと。トヨタに限らず、このような機能を持つ自動車が増えることで、事故の軽減と効率的な走行が可能になって渋滞も軽減される、ということになるのかもしれません。
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