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イーロン・マスクがAIによる解雇に対し給付金を送る「ユニバーサル・ハイインカム」で対応すべきと発言し批判が殺到


Metaが2026年3月にAIコスト増大を受けて従業員の約10%を解雇するなど、AIの導入により人間の従業員が職を失うケースが多数発生しています。イーロン・マスク氏はAIによって引き起こされる失業問題に対処する方法として、AIやロボット工学により産業の生産性を大幅に向上させることで政府から給付金を送る「ユニバーサル・ハイインカム(普遍的な高所得)」という方法を提唱しましたが、Xユーザーや専門家から批判を受けています。

Elon Musk's mistaken call for a 'universal high income' if AI kills jobs
https://reason.com/2026/04/17/elon-musks-mistaken-call-for-a-universal-high-income/

Elon Musk proposes federal checks for AI job losses, economists disagree | Fox Business
https://www.foxbusiness.com/fox-news-tech/elon-musk-backs-universal-high-income-combat-ai-job-losses

Elon Musk floats 'universal high income' to offset AI-led job disruption - The Economic Times
https://economictimes.indiatimes.com/tech/artificial-intelligence/elon-musk-floats-universal-high-income-to-offset-ai-led-job-disruption/articleshow/130334752.cms

AIが経済に大きな変革を起こしつつある中で、以前から一部の政治家や政策専門家、技術者はAI革命によって引き起こされるであろう大量失業に対処するためにベーシックインカムの導入を支持していました。AIがあらゆる経済生産の大部分を自動化することで経済全体ははるかに豊かになりますが、多くの人々が職を失い困窮するため、政府がAIによる利益の一部を公共に再分配するという考え方です。

マスク氏は2026年4月17日に、「連邦政府が発行する小切手によるユニバーサル・ハイインカムが、AIによる失業に対処する最善の方法です」とポストしました。ベーシックインカムは大衆に同額の給付金を配布するため、誰もが裕福になれるように高額を分配する場合、市場にお金があふれてインフレを引き起こす懸念があります。しかしマスク氏によると、AIとロボット工学は貨幣供給の増加をはるかに超える商品とサービスの生産をもたらすためインフレは発生せず、「普遍的に高所得な状態」になるとのこと。


マスク氏はXの投稿以前から、AIが労働を終わらせる可能性をたびたび示唆していました。2026年1月の世界経済フォーラムにおいてマスク氏は「AIとロボット工学が世界経済に前代未聞の拡大を引き起こし、機械が人間のほとんどのニーズを満たす物質的豊かさの時代をもたらす可能性がある」と述べていました。また、ベンチャーキャピタル企業・Andreessen Horowitzの創業者であるマーク・アンドリーセン氏がAIによる大規模な人員削減への懸念を否定し「技術進歩は歴史的に見て縮小ではなく拡大をもたらしてきた」と主張した2026年3月のポストに対し、マスク氏は「将来的に働くことは選択制になるでしょう」と返信しました。

マスク氏のポストに対し、Xでは「政府が給付する資金はどこから発生するのか」「ユニバーサル・ハイインカムが実現するなら素晴らしいアイデアだが、それを支えるAIは誰がコントロールするのか」「ユニバーサル・ハイインカムが実現したら、個人の自治と自由の終わりを意味する」「これはハイテク社会主義だ」など批判が集まりました。


アメリカのリバタリアン系月刊誌であるReasonはマスク氏の意見について、AIが生産性を大幅に向上させる技術であればインフレに下方圧力をかけるという考え方は正しいとしつつも、「ベーシックインカムは失業を増加させる可能性が高い」と反論しています。産業革命により多くの人が職を追われた際、ほとんどの人は時間をかけて変革した職に適応したり新しい仕事を見つけたりしましたが、ここに高額なベーシックインカムが介入すると、人々が働くことの動機を失う「失業者のディストピア」が生まれるとReasonは指摘しました。

また、インド財務大臣の元首席経済顧問であるサンジーヴ・サニヤル氏は「マスク氏の考えは間違っています。AIは確かに混乱を引き起こすと考えられますが、あらゆる技術と同様に、中期的には新たな雇用と機会も生み出すでしょう。AIやロボットは、貨幣や需要を超える商品やサービスを生産するわけではないため、インフレは起こらないという考えも間違っています。これらは、世界に遂行される仕事の数が有限で、消費者の需要のセットも有限だと考える人々が犯す典型的な誤りです」とXに投稿しました。


また、AI企業のMerlin AIの共同創業者兼CEOのプラティシュ・ライ氏もXで「私たちは、100万人以上のユーザーにサービスを提供するAI製品を運営しています。その経験からお伝えできるのは、AIがほぼすべてを自動化するというのは、あまりにも現実離れした話だということです」とマスク氏のビジョンを否定しました。加えてライ氏は、誰もが高額な収入を支給されると誰もが同じ財物や生活様式を奪い合うことになるため、「普遍的な高所得」は実現不可能だと指摘しています。


心理学教授のジェフリー・ミラー氏はユニバーサル・ハイインカムの問題点を2つ挙げています。1つは、AIによる大量失業は世界中で発生しうるものであるため、世界中の80億人が給付金対象となる荒唐無稽さにあります。ミラー氏は世界中の人々が給付金で暮らすビジョンを「80億人を生産的で価値ある市民から、AI産業の乳房に吸いつく永遠のパラサイトに変える」と表現しています。2つ目の問題点として、仮にAI企業の上げた収益で人々に給付金を供給し続ける場合、AI企業が政府を操るような構図になり、権力を持ちすぎるという懸念が考えられます。ミラー氏は「これは豊かさへの道ではなく、隷(れい)属への道です」と述べています。

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in AI, Posted by log1e_dh

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