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中国が従来よりはるかに安全な溶融塩を使った原子力発電所の開発を計画


中国の研究者らが、ウランプルトニウムといった固形の燃料棒の代わりに液体トリウムを燃料とする次世代の原子炉「溶融塩原子炉」の開発を計画していると報じられました。開発が成功した場合、従来より安全でクリーンな原子炉を水が少ない砂漠などでも運用可能になるとのことです。

Radioactive product analysis of a small molten-salt reactor in primary loop
http://www.j.sinap.ac.cn/hjs/EN/10.11889/j.0253-3219.2021.hjs.44.070601

Could China’s molten salt nuclear reactor be a clean, safe source of power? | South China Morning Post
https://www.scmp.com/news/china/science/article/3141581/could-chinas-molten-salt-nuclear-reactor-be-clean-safe-source

中国政府が計画しているトリウム溶融塩原子炉(TMSR)は、フッ化物塩に親物質としてのトリウムと核分裂性物質のウランまたはプルトニウムを混合し、燃料と冷却剤の両方として使用する仕組みの原子炉です。液体のためメルトダウンが起こり得ず、仮に漏れ出た場合でも急速に冷えて固まるため安全だとのこと。また、沸点が高く作動圧力が低いために、水を使った冷却と違って温度上昇による水蒸気爆発の心配もほとんど無いとされています。

溶融塩原子炉の構想は世界各国で研究されていたものの、腐食性の高い溶融塩による金属パイプの腐食などの理由からどれも実現には至っていません。中国政府は長い間溶融塩原子炉研究へ支援を行っており、今回建設される原子炉には研究を重ねて生み出された、腐食や高温に耐えることができる合金が用いられるとのこと。


原子炉の建設予定地は人口がまばらな中国中部と西部の平原、もしくは砂漠で、中国政府は2030年までに最初の原子炉を建設することを目標としています。また、トリウムからはごく少量のプルトニウムしか生成されないために核兵器への転用は難しいことから、中国政府は一帯一路構想に基づき他国での建設も検討する可能性があるとみられています。


溶融塩原子炉の設計を行った上海応用物理学研究所のYan Rui氏らは「このような小規模な原子炉は効率的かつ経済的で、クリーンエネルギーへの移行において重要な役割を果たすことができます。溶融塩原子炉は今後数年間で広く展開されると予想されます」と述べました。

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in Posted by log1p_kr

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