Amazonの3Dゲームエンジン「Lumberyard」がオープンソース化されることが発表される
Amazonが2016年から開発してきた3Dゲームエンジンの「Amazon Lumberyard」が、「Open 3D Engine」としてオープンソース化されることが発表されました。これに伴って、非営利の技術コンソーシアムであるLinux Foundationは20を超える企業や団体と協力し、Open 3D Engineを管理する団体「Open 3D Foundation」を立ちあげています。
Linux Foundation to Form New Open 3D Foundation
https://www.prnewswire.com/news-releases/linux-foundation-to-form-new-open-3d-foundation-301325827.html
Built for Builders: The Story of AWS and Open 3D Engine – Developer Preview | AWS Game Tech Blog
https://aws.amazon.com/jp/blogs/gametech/open-3d-engine/
Amazon shifts Lumberyard to open source 3D game engine supported by 20 companies | VentureBeat
https://venturebeat.com/2021/07/06/amazons-lumberyard-becomes-an-open-source-3d-game-engine-with-support-from-20-companies/
Amazonが2016年に発表した3DゲームエンジンのLumberyardは、ドイツのゲーム開発企業であるCrytekが開発するゲームエンジン「CryEngine」をベースにしたもの。クラウドコンピューティングサービスのAmazon Web Services(AWS)やゲーム実況サービスのTwitchと統合され、AWSの利用料以外はロイヤルティなども必要なく、無料で使用できるようになっていました。
Amazonが無料でゲーム実況機能付きのCryEngineベースゲームエンジン「Amazon Lumberyard」発表 - GIGAZINE
そして2021年7月6日、AmazonはLumberyardをオープンソース化することを発表しました。Lumberyardは「Open 3D Engine」と名称を改めることとなり、Linux Foundationが20を超える企業・機関と共に設立した「Open 3D Foundation」という団体によって管理されることになります。
Amazonはブログ投稿の中で、「Linux Foundationは大規模なオープンソースプロジェクトの管理において、地球上で最も優れた団体の1つです」と述べています。Open 3D Foundationの創設メンバーには、Accelbyte・Adobe・Apocalypse Studios・Audiokinetic・Backtrace.io・Carbonated・Futurewei・GAMEPOCH・Genvid Technologies・Hadean・Huawei・HERE Technologies・Intel・International Game Developers Association(国際ゲーム開発者協会)・Kythera AI・Niantic・Open Robotics・PopcornFX・Red Hat・Rochester Institute of Technology(ロチェスター工科大学)・SideFX・Tafi・TLM Partners・Wargamingなど、多様なゲーム開発企業やテクノロジー関連企業、NPO団体、大学などが含まれているとのこと。
Linux Foundationは7月6日の声明で、「Open 3D Foundationは3Dグラフィックス、レンダリング、オーサリング、開発に関連する能力を向上させるオープンソースプロジェクトをサポートします。新しい財団が管理する最初のプロジェクトとして、Amazon Web Services(AWS)はAmazon Lumberyardゲームエンジンの更新バージョンをOpen 3D Engine (O3DE)として提供しています」と述べました。
Open 3D EngineはApache 2.0ライセンスの下で利用可能であり、無料での商用利用や改変、複製、アプリへの埋め込みなども可能です。また、LumberyardをOpen 3D Engineとして公開するに当たって、フロントエンドインターフェースの改善や動作の高速化といったアップデートも施したとのこと。
AWSのエンジニアリング担当副社長を務めるビル・ヴァス氏は、「私たちは3D開発コミュニティに対し、スムーズでAAAタイトルに対応可能なリアルタイム3Dエンジンを提供することを、誇りを持っています。これは、最新のゲームハードウェアと分散型クラウドレンダリング向けに構築された新しい写実的レンダラーを含む、業界で最も幅広い3Dオーサリングツールです」「LinuxがOSに対して、Apatcheがウェブに対して行ったように、ファーストクラスのコミュニティ主導のオープンソースオプションを作成することで、リアルタイム3D開発に革命が起こると信じています」とコメント。
また、Linux FoundationのCTOを務めるChris Aniszczyk氏は、「新しいOpen 3D Foundationはゲームおよびエンジンの開発者に対し、世界規模のオープンソースコミュニティにより長期にわたって維持されてきた、メジャーなAAAクラスの3Dエンジンの方向性に影響を与える機会を提供します」と述べました。
なお、Open 3D Engineの開発者向けプレビューは、GitHubで入手可能となっています。
GitHub - o3de/o3de: Source for fully featured AAA Open 3D Engine
https://github.com/o3de/o3de
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