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「パテント・トロール」のターゲットになるとどんな通知文が届くのか?


パテント・トロール」とは、抽象的で曖昧な内容の特許を取得しておいて、他社に対して「自社の特許を侵害している」と訴訟を起こしてお金を巻き上げようとする者のことです。そんなパテント・トロールから通知を受け取ったアメリカの学習向け電子機器販売店・SparkFunの創業者であるNathan Seidle氏が、同氏が直面したパテント・トロールの事例を取り上げて、その内容を解説しました。

SparkFun Hooks a Patent Troll - News - SparkFun Electronics
https://www.sparkfun.com/news/3917

◆ウェブサイトを持っていることに関する特許
以下は、SparkFunがFeinberg Dayという事業者から受け取った書面で、内容はSematic Search Technologiesという会社が保有する特許のライセンスを提供するので連絡してほしいというもの。


Feinberg Dayが言及している米国特許第8244726号、第8793237号、第8880497号という特許は実在のもので、いずれもサイト上で商品のキーワード検索を支援する技術に関するものです。

この通知について、Seidle氏は「Feinberg Dayの主張の内容は、要するに『あなたがウェブサイトを持っていることに気づきました。私たちは、ウェブサイトに関する特許を持っています。そのことでお話があるので、電話してください』というものです。これはある種の迷惑電話に似ています。もしあなたが受話器を取ってしまうと、それが実際に使われているものだということが分かるので、その電話番号を他の詐欺師に高く売れるわけです」と説明しました。

また以下は、Garteiser Honeaから送付された書面です。これも上記同様にウェブサイトに関するライセンスの提供を申し出るという内容で、契約締結が2週間以内ならライセンス料が4万9284ドル(約547万円)、3週間以内なら5万4284ドル(約603万円)だと案内されています。


これについてSeidle氏は「カチカチと音を立てる時計を置いて、『お返事が遅れると高くなるから今すぐ電話した方がいいよ』というわけですね。私たちは弁護士ではありませんが、最善の対応策は無視することだと考えています。パテント・トロールに付き合っていたら、まるで底なし沼のようにきりがないからです」と述べています。

◆実際に特許侵害訴訟が提起されたケース
SparkFunは前述の2件を無視しましたが、実際に特許侵害訴訟に踏み切られたケースにも遭遇しました。それが、Altair Logixという企業によるもの。記事作成時点では、SparkFunは訴訟に関する通知を何も受け取っていませんが、商標弁護士を務めているSeidle氏の知人が、SparkFunに関する訴訟案件を偶然発見して教えてくれたとのこと。この訴訟に関する資料を精査したSeidle氏は、無理筋だと思える箇所を複数指摘しています。

まず、Altair Logixが保有していると主張している米国特許第(PDFファイル)6289434号は1998年に出願されたもので、アメリカにおける特許の有効期間は原則として、出願から20年間です。つまりAltair Logixが主張している特許は、2018年にはすでに期限が切れています。

また、特許資料の中で「メディア処理ユニット」と名付けられている図は、実際には単なるマルチコア・プロセッサの概略図で……


別の図はSDカードなどのデータ転送デバイスなどに広く使われているシリアル・ペリフェラル・インタフェース(SPI)を説明した図に過ぎないとのこと。このように、米国特許第6289434号には、業界が作り上げてきた技術の名前を変えて特許を主張するようなものが多数含まれていました。


他にも、訴状は動的メモリを確保するために使うC言語の関数であるmallocと同じものを自社の発明だと主張しつつ、SparkFunが2017年まで販売していたpcDuinoがそれらの特許を侵害していると訴えていたとのこと。

Seidle氏はpcDuinoがターゲットになったことについて、「おそらく『メディア』という言葉を使った製品を作った企業に、以前Altair Logixが勝ったことがあるのではないでしょうか。都合のいいことに、訴状で引用されているpcDuinoのURLは、特許が切れる2018年より前にWeb Archiveが収集したものでした」と指摘しました。

その上でSeidle氏は、Altair Logixに対して「私たちは、pcDuinoを221台販売しました。インチキ特許を使い、500ドル(約5万円)相当の架空の特許料を求めて私たちを訴えたいというのであれば、どうぞ取りに来てください」と述べて、争う姿勢を鮮明に示しました。

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in メモ, Posted by log1l_ks

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